RECORD
Eno.1461 篠崎 駿の記録
Lunatic
ここ最近、俺は毎日リハビリを続けていた。
雪ちゃんの提案通り、30秒から始めて、少しずつ時間を伸ばしていく。
震えが来る日もあれば、意外と持つ日もあった。
そんなある夜、練習を終えて部屋でくつろいでいると、急に胸がざわついた。
外は雨が降り始めていて、窓から暗い夜空が見える。
俺は無意識に、部屋の電気をすべて点けた。
デスクライト、天井の照明、ベッドサイドのランプ──全部。
「駿君、どうしたの?」
雪ちゃんが不思議そうに聞いてくる。
俺は言葉に詰まった。自分でも理由がわからない。
ただ、暗闇が近づくと、心の奥底から何かが這い上がってくるような気がする。
「……いや、なんでもない」
俺は小さい頃からなぜか暗い場所が苦手だ。狭い部屋や、閉じた扉の向こう側が怖い。夜中に目が覚めて、部屋が暗いとパニックになることがある。
雪ちゃんは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「本当に大丈夫? 顔色悪いよ」
俺は無理に笑って、首を振った。
「うんうん、大丈夫…多分リハビリで疲れただけだよ」
彼女は納得したふりをして、俺の隣に座った。
ギターの練習の続きを提案してきたけど、俺はもう今日はやめようと言った。
夜が深まって、雪ちゃんが自分の部屋に戻った後、俺は一人でベッドに横になった。
部屋は明るいまま。電気を消す気なんて、起きなかった。
何もすることもなくただぼっとしてたり
ベッドサイドのテーブルに置いてあった、写真立てに目をやる
父さんと母さんそして、幼い頃の俺が写った、古い写真。
「父さん、元気かな……」
呟きながら、俺はそれを本棚に置いた。
でも、次の瞬間、現実に引き戻された。
「……写真じゃないじゃないか」
手に持っていたのは写真なんかじゃなく部屋の暖房のリモコンだ。
ただのプラスチックの塊。俺は何をしてるんだ?
震える手でそれをテーブルに戻して、頭を抱えた。
心臓が早鐘のように鳴ってる。息が苦しい。部屋は明るいのに、暗闇が迫ってくる感じがする。
でも、フラッシュバックみたいに、断片が浮かぶ。冷たい金属の壁。息苦しい空気。泣き声が響くのに、誰も来ない。暗くて、狭くて、怖い。
「う……っ」
吐き気がすごくて俺はベッドから転げ落ちるように立ち上がって、部屋を歩き回った。
電気をさらに点けようとしたけど、もう全部ついてる。
スマホを手に取って、雪ちゃんに連絡しようか迷った。
でも、夜ももう遅い。それに彼女を心配させたくない。
結局、一人で耐えた。朝まで、目を閉じずに震えながら座ってた。
翌朝、雪ちゃんがいつものように部屋に来た。
俺のやつれた顔を見て、すぐに察したみたいだ。
「駿君、寝てないの? 何かあった?」
俺は迷ったけど、話すことにした。昨夜の幻覚のこと。暗い場所が怖いこと。
彼女は静かに聞いて、俺を抱きしめた。
「……辛かったね。一人で抱え込まなくていいよ。私がいるんだから」
彼女はそう言って、俺の震える手を握った。
「……どんなに辛い事があっても私が隣にいるよ」
俺は頷いた。怖いけど、彼女がいれば、向き合えそうな気がした。
彼女の温もりが、俺の心の暗闇を照らしてくれる。
これなら、乗り越えられる。きっと。
雪ちゃんの提案通り、30秒から始めて、少しずつ時間を伸ばしていく。
震えが来る日もあれば、意外と持つ日もあった。
そんなある夜、練習を終えて部屋でくつろいでいると、急に胸がざわついた。
外は雨が降り始めていて、窓から暗い夜空が見える。
俺は無意識に、部屋の電気をすべて点けた。
デスクライト、天井の照明、ベッドサイドのランプ──全部。
「駿君、どうしたの?」
雪ちゃんが不思議そうに聞いてくる。
俺は言葉に詰まった。自分でも理由がわからない。
ただ、暗闇が近づくと、心の奥底から何かが這い上がってくるような気がする。
「……いや、なんでもない」
俺は小さい頃からなぜか暗い場所が苦手だ。狭い部屋や、閉じた扉の向こう側が怖い。夜中に目が覚めて、部屋が暗いとパニックになることがある。
雪ちゃんは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「本当に大丈夫? 顔色悪いよ」
俺は無理に笑って、首を振った。
「うんうん、大丈夫…多分リハビリで疲れただけだよ」
彼女は納得したふりをして、俺の隣に座った。
ギターの練習の続きを提案してきたけど、俺はもう今日はやめようと言った。
夜が深まって、雪ちゃんが自分の部屋に戻った後、俺は一人でベッドに横になった。
部屋は明るいまま。電気を消す気なんて、起きなかった。
何もすることもなくただぼっとしてたり
ベッドサイドのテーブルに置いてあった、写真立てに目をやる
父さんと母さんそして、幼い頃の俺が写った、古い写真。
「父さん、元気かな……」
呟きながら、俺はそれを本棚に置いた。
でも、次の瞬間、現実に引き戻された。
「……写真じゃないじゃないか」
手に持っていたのは写真なんかじゃなく部屋の暖房のリモコンだ。
ただのプラスチックの塊。俺は何をしてるんだ?
震える手でそれをテーブルに戻して、頭を抱えた。
心臓が早鐘のように鳴ってる。息が苦しい。部屋は明るいのに、暗闇が迫ってくる感じがする。
でも、フラッシュバックみたいに、断片が浮かぶ。冷たい金属の壁。息苦しい空気。泣き声が響くのに、誰も来ない。暗くて、狭くて、怖い。
「う……っ」
吐き気がすごくて俺はベッドから転げ落ちるように立ち上がって、部屋を歩き回った。
電気をさらに点けようとしたけど、もう全部ついてる。
スマホを手に取って、雪ちゃんに連絡しようか迷った。
でも、夜ももう遅い。それに彼女を心配させたくない。
結局、一人で耐えた。朝まで、目を閉じずに震えながら座ってた。
翌朝、雪ちゃんがいつものように部屋に来た。
俺のやつれた顔を見て、すぐに察したみたいだ。
「駿君、寝てないの? 何かあった?」
俺は迷ったけど、話すことにした。昨夜の幻覚のこと。暗い場所が怖いこと。
彼女は静かに聞いて、俺を抱きしめた。
「……辛かったね。一人で抱え込まなくていいよ。私がいるんだから」
彼女はそう言って、俺の震える手を握った。
「……どんなに辛い事があっても私が隣にいるよ」
俺は頷いた。怖いけど、彼女がいれば、向き合えそうな気がした。
彼女の温もりが、俺の心の暗闇を照らしてくれる。
これなら、乗り越えられる。きっと。