RECORD
Eno.232 月影誠の記録
2/6(2/5)
※花月心音(2840)の同日の日記を先に見ることを推奨します

まだそれなりに早い時間。通学前に魔女の箱庭へとやってきた。
扉越しである必要はなくなったから、普通に入らせてもらって。
今日からは暫くの間通信教育を受ける、と聞いた。
魔女の吟味に付け込んで立ち上がらせた。
これは決して優しさではない。彼女のように俺はなれない。
……いや。あれは、なってはいけない領域だと思う。
報われない魔女見習いが、唯一残された魔女という支え。
きっと、それも奪われてしまえば。彼女は、もうこの部屋から出てこないだろう。

耳がいい、ということについて最近ずっと考えている。
聞こえないはずのものが聞こえる。人の声から数多の情報を聞き取ることができる。
例えば嘘。
嘘をついている、と声で分かったとしよう。
じゃあ、嘘をついているとその理由を彼女は探るだろうか。
嘘をついていることの過程をすっ飛ばして結論に至る力。
推理小説で最初に犯人が判明したとして、その小説の続きを読む気になれるだろうか。
そのような作りになった小説でもない限り、読まないだろう。
笑っている人が怒っていると気が付いて。
怒っている理由を探るより先に、その怒りに気が付いて事情を聞きだして寄り添おうとしたならば。
隠していたい感情だったならば、彼女は暴いてしまったことに怒りの矛先を向けられるだろう。
じゃあ、怒っていると気が付いて、その感情を無視し続けることができるか?
多くの人間は、気まずさを覚えるか、事情を聞こうとするだろう。
気が付かないから、触れない。
彼女は隠していると隠していないの差が、分からない。
嘘の過程をすっ飛ばして結論にたどり着いてしまう。
だから。理由を気にするプロセスが、そもそも存在しない。

ふあ、とあくびを一つ。
ずっと気を張っていたし、神秘を何度も行使したから眠いし腹が減った。
何か学校の行きしに買っていくとするか。

「ん、それじゃあ学校が終わったらもう一度心音に会いに来るね」
まだそれなりに早い時間。通学前に魔女の箱庭へとやってきた。
扉越しである必要はなくなったから、普通に入らせてもらって。
今日からは暫くの間通信教育を受ける、と聞いた。
魔女の吟味に付け込んで立ち上がらせた。
これは決して優しさではない。彼女のように俺はなれない。
……いや。あれは、なってはいけない領域だと思う。
報われない魔女見習いが、唯一残された魔女という支え。
きっと、それも奪われてしまえば。彼女は、もうこの部屋から出てこないだろう。

(……曉歌と心音が同じ、か)
耳がいい、ということについて最近ずっと考えている。
聞こえないはずのものが聞こえる。人の声から数多の情報を聞き取ることができる。
例えば嘘。
嘘をついている、と声で分かったとしよう。
じゃあ、嘘をついているとその理由を彼女は探るだろうか。
嘘をついていることの過程をすっ飛ばして結論に至る力。
推理小説で最初に犯人が判明したとして、その小説の続きを読む気になれるだろうか。
そのような作りになった小説でもない限り、読まないだろう。
笑っている人が怒っていると気が付いて。
怒っている理由を探るより先に、その怒りに気が付いて事情を聞きだして寄り添おうとしたならば。
隠していたい感情だったならば、彼女は暴いてしまったことに怒りの矛先を向けられるだろう。
じゃあ、怒っていると気が付いて、その感情を無視し続けることができるか?
多くの人間は、気まずさを覚えるか、事情を聞こうとするだろう。
気が付かないから、触れない。
彼女は隠していると隠していないの差が、分からない。
嘘の過程をすっ飛ばして結論にたどり着いてしまう。
だから。理由を気にするプロセスが、そもそも存在しない。

(……生き辛そうだなあ)
ふあ、とあくびを一つ。
ずっと気を張っていたし、神秘を何度も行使したから眠いし腹が減った。
何か学校の行きしに買っていくとするか。