RECORD

Eno.712 茅鳴 ほみの記録

茅鳴直生の日誌 #2

「今日はどうだったか」と毎日聞くようにはしている。

「あのねあのね!
 自転車で走ってたらね、おねえさんがお歌をしててね、
 仲良くなって豚まんもらってきたの。
 先生もいっしょにたべよ!」


なんつうコミュ力だ。(俺は辛いのだめって言ったらほみが黒胡椒の味を全部平らげていた)
お礼をしたいと言うのでスマホの入力を監修させられた。

「今日はね、公園でたくさんおしゃべりしたの!
 束高や貴女学院のせんぱいとおともだちになったよ!
 ほみ、北摩一等賞もらったよ」


なんつうコミュ力だ。(北摩一等賞ってなんだよ)
友達ってそんなすらすらできるもんじゃねえだろ。おまけに他校や他学年に。俺にはいないぞ。

こいつが俺の目の前で人のような姿になりはじめて、興味本位で名前をつけて観察してから、数ヶ月。
数日で人間のようになった・・・・・・・・・・・・、それを除けばこいつは人間の枠を脱したことがない。
神秘とやらにありがちらしい、超常的な力や常軌を逸した行動、
その欠片すら感じたことがない。(まあちょっと中三にしては幼い気はするが……)
勉強を見ているが、中の上くらいの偏差値を維持し続けている。

それがとてつもなく、不気味だ。

どうやらほみは、俺が見ていないところでも完璧に人間を演じているらしい。
買い食いが多い。持たせた小遣いがしょっちゅうなくなっている。また地下街のドリンクスタンド行ったな。
俺が外出したくないせいで、料理の買い出しもさせてるからというのは、そりゃそうなんだが。
俺はお前の服やチャリや家賃や定期代で貯金が崩されてるんだぞと言っても、
「ほみは中学生でバイトできないよ」とか言うし。怪奇のくせにまともなこと言うな。

書いててなんだか虚しくなってきた。
バイト……はじめるか……。