RECORD

Eno.232 月影誠の記録

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「翼ー、相談あんねんけど」



「バレンタインのチョコレート貰った自慢セールストークはお断りしとんで」



「彼女から本命をもらっちゃいます」



「おい表出ろやゴルァ!!」






「んで、ある俺の友人なんやけどな」



「お前ようこっから話続けよう思たな」



「耳が良すぎて声から感情を色々聞き取れてまう子がおってな。
 昔は学校でも孤立しとったんがこっちの高校で上手くやれとった……んやけど。
 親しい子に拒絶されてもうて、ふさぎ込んでもうてな」



そっから拒絶された親しい子の過去の女を説得に行ったり、
 気にかけて声かけにいったやつに対して逆に人生相談やったり、
 なんか揉めたり、血入りチョコを知らずに食わされたりしとって



可哀そうすぎるやろその子。ふさぎ込んでからの容赦がなさすぎる。
 その子が一体何悪いことしたんや」



「人助け、かな……」



「いじめて報復されて悲惨な目に遭っとる方が
 ずっとマシやったわこれ」



「で、流石にこうなってもうたらもうどう声をかけてええか分からんなってさ」



「……せっかく皆と楽しく過ごせるはずやったのに。
 人と関わることを、諦めんといてほしいねん」



「それがもうお前のエゴや思うけどな。そうなった以上そっとしといたれや。
 ふつーーーに酷過ぎる日々を送らせすぎやねん。マジで人近づけたんなや」



「それはそうなんやけども」



「大体そいつにとってもええ迷惑やろ。
 人ともう関わりたない言うんやったらそっとしといたれ。
 人の生き方にあんま口出しするもんとちゃうぞ」



「それが本心やったらそうするわ」



「ちゃうねん。
 あいつは……人が好きで、人のためになりたくて」



「ただ、皆と一緒におりたいだけやねん」



「…………はあ」



「……………………」



「…………お前の好きなゲーム。
 お前の推し、最後になんて言うとった?」



「え……?」



「……そこに居てくれて、ありがとうって」



「それでええやん」



「…………」



「…………あぁ、そっか」




「それだけで、ええんや」