RECORD

Eno.350 竜胆 棗の記録

食べる

良い匂いがした。ぐちゃぐちゃという音がした。鼻腔をくすぐる、この匂いを俺は覚えている。

家の扉を開ければ、子供が1人。
餌を食べていた。

がつがつもぐもぐむしゃむしゃがつがつもぐもぐむしゃむしゃがつがつもぐもぐむしゃむしゃがつがつもぐもぐむしゃむしゃがつがつもぐもぐむしゃむしゃ

がつがつもぐもぐと、一心不乱に餌を食べるその姿を見て。

あぁ、お腹が減っているんだな、と思った。
お腹が減るのは辛い、俺も昔そうだったから、満たされたいから食べる、食事ってのはそういうもんだ。

気持ちは分かる、けれど。

弟達は、苦痛に満ちた顔でこちらを見ていた。

「俺はまた……守れなかったんだな。」

ふと、その時、自分のお腹が鳴った気がした。