RECORD

Eno.350 竜胆 棗の記録

記憶1

この仕事をしていると、たまに思い出すことがある。
 俺がこの仕事を始めるキッカケになった男の事。
そしてその男との出会い。

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 昔の俺は孤児院で暮らしていた、物心つく頃にはその孤児院で俺は一番の年長で皆の兄みたいなポジションになっていた。
 孤児院の職員とも仲は良かったし、それなりに信頼はしていた、少なくとも幸せだった。

 事件が起きたのは9歳の誕生日、何となくほんとに興味本位で普段なら入っちゃいけない部屋に入ったのが始まりだった、その部屋は、部屋自体はかなり広かったのだけど、部屋いっぱいに人が入れそうなカプセルがあって、その中に何人か子供が入っていた。
 孤児院にこんなものがあるなんて知らなかったし、これは何をするためのものかも全く検討が付かなかった。
 もしかしたら何かヤバい事に俺達は巻き込まれてるんじゃないか?とそう考えたらいても立っても居られなくなって、とりあえずその場を探索することにした。
 仮に、何かあるのだとして、その時孤児院の子供達を助けることが出来るのは俺だけだろうから。

 
 調べ始めるとある程度、状況が見えてきた。
俺達はこの孤児院で何らかの儀式の1部として育てられた、半怪奇の人間だということ。
 そして来週その儀式が行われるのだと。
 正直大いに落胆したし、失望した。
今まで信頼していた大人たちは俺達のことをただの道具としてしか見てなかったんだろう、愛情なんて持って育てられていなかったのだと、今気が付いた。
 だけど、そんな事を嘆いてる暇は俺にはなかった、何とかして皆を守る方法を考えないと。

 孤児院の子供たちは皆俺にとっては家族みたいなものだから、何があったとしても守ろうと心に誓った。