RECORD
Eno.220 笹杜 梨咲の記録
星を見たって救われない
私の最も古い記憶は、大きな手の記憶。
その手は、まるで手品のような軽やかさで
カードを、筮竹を、ペンデュラムを操った。
パチパチ、シャラシャラと音を立てる魅力的な品々を
私はその手の持ち主の膝の上からずっと見ていた。
いつからだろう、その記憶を煩わしく感じるようになったのは。
“わが家は由緒正しき■■■家に連なり……”
“今に世の中がこの力を必要とするんだ”
“ここで燻ぶっているのは本当の俺じゃない、本当はもっと評価される…”
そんな事ばかりを言っては一日中家にいたその人は
ある時を境にぽつり、ぽつりと外出をしたかと思えば
すっかり戻らなくなっていた。
それから5年。すっかり日常。
何が神秘だ、何が秘術だ、何がオカルトだ。
現実も見ないで、ブラブラして。
自分に酔うのもいい加減にして。
私は“そういうもの”がすっかり嫌いになった。
昔は熱心に習っていたけれど、今はもう必要ない。
おとぎ話、空想ばかりに明け暮れるのはもうおしまい。
もっと現実を見て、地に足をつけて、生きるべきだ。
人間は霞を食べて生きられない。当たり前の話でしょう?
ああなのに、まただ。
また“見えない力”だ。
自分の力の及ばない環境に振り回されないように。
自分の力で自分の場所を守る努力をしようと決めたのに。
どうしてまた、振り回してくるの。
離れようとしたのに、追ってくるの。
《裏世界》で話を聞けと、学長に言われて
カレントコーポレーションのCEOと
神秘管理局の局長にそれぞれ話を聞いた。
アザーコロニストにも行ったけれど、あまりにも空気が違うから、すぐに帰った。
二人の話を聞いた印象としては
正直、神秘管理局の局長の方が信用できる、と思った。
カレントコーポレーションのCEOの話には、いいことしかなかった。
一方、神秘管理局の局長の話には、ちゃんとデメリットも含まれていた。
こんな事態、うまい話だけの訳がない。小学生だってわかる。
それを上手くコーティングして話す大人は、信用できない。
けれどCEOはあれを『取引』だと言った。
つまり、立場は対等にし得るということ。
大人が、世界が私たちを利用するのなら。
私たちだってあなたたちを利用してやる。
私はもう、奪われたくないの。
その手は、まるで手品のような軽やかさで
カードを、筮竹を、ペンデュラムを操った。
パチパチ、シャラシャラと音を立てる魅力的な品々を
私はその手の持ち主の膝の上からずっと見ていた。
いつからだろう、その記憶を煩わしく感じるようになったのは。
“わが家は由緒正しき■■■家に連なり……”
“今に世の中がこの力を必要とするんだ”
“ここで燻ぶっているのは本当の俺じゃない、本当はもっと評価される…”
そんな事ばかりを言っては一日中家にいたその人は
ある時を境にぽつり、ぽつりと外出をしたかと思えば
すっかり戻らなくなっていた。
それから5年。すっかり日常。
何が神秘だ、何が秘術だ、何がオカルトだ。
現実も見ないで、ブラブラして。
自分に酔うのもいい加減にして。
私は“そういうもの”がすっかり嫌いになった。
昔は熱心に習っていたけれど、今はもう必要ない。
おとぎ話、空想ばかりに明け暮れるのはもうおしまい。
もっと現実を見て、地に足をつけて、生きるべきだ。
人間は霞を食べて生きられない。当たり前の話でしょう?
ああなのに、まただ。
また“見えない力”だ。
自分の力の及ばない環境に振り回されないように。
自分の力で自分の場所を守る努力をしようと決めたのに。
どうしてまた、振り回してくるの。
離れようとしたのに、追ってくるの。
《裏世界》で話を聞けと、学長に言われて
カレントコーポレーションのCEOと
神秘管理局の局長にそれぞれ話を聞いた。
アザーコロニストにも行ったけれど、あまりにも空気が違うから、すぐに帰った。
二人の話を聞いた印象としては
正直、神秘管理局の局長の方が信用できる、と思った。
カレントコーポレーションのCEOの話には、いいことしかなかった。
一方、神秘管理局の局長の話には、ちゃんとデメリットも含まれていた。
こんな事態、うまい話だけの訳がない。小学生だってわかる。
それを上手くコーティングして話す大人は、信用できない。
けれどCEOはあれを『取引』だと言った。
つまり、立場は対等にし得るということ。
大人が、世界が私たちを利用するのなら。
私たちだってあなたたちを利用してやる。
私はもう、奪われたくないの。