RECORD

Eno.225 葛山の記録

史上最悪の誕生日プレゼント



 毎年、誕生日プレゼントを贈ってくれる人には申し訳ないと思っている。
 祝いに呪いが紛れている可能性を、ほんの僅かでも疑ってしまう事に。
 僕に誕生日を祝われる資格はない。


 ◇ ◇ ◇


 当時、僕の居た小学校で密かに流行っていた怪談があった。
 他校でこの話を知っていると言う人は見た事がないので、本当にローカルな噂だったんだろうな。

 ああ、それと小噺もあった気がするな。
 A君が先生に作文を読んでくださいと言われて、最終的に「後で職員室に来なさい!」「バイクで行くぜ」みたいなオチの話なんだけど、これ親も知ってて驚いたよね。
 この話関係あるか? 全然ないよ。本筋に戻そう。

 ブルーベリージャムの消失。
 有名所だと、牛の首なんかが近い。
 タイトルだけが出回っていて、その話の内容を聞いた人はお化けに攫われて消えてしまうといった話だ。
 勿論、その話の中身を知っている人などおらず、子供の他愛ない噂話に過ぎなかった。

 焼野歩が居なくなったのは、10月21日の事だ。
 その日の昼休み、いつもの様に図書室へ来たら、焼野は来ていなかった。
 不思議に思った僕は、彼女のクラスメイトや担任の教師に行方を訊いた。
 焼野の担任の教師には、理由は不明だが暫く休みである事だけ伝えられた。
 奥歯に物が挟まったような言い方だった。本当は何かを知っていたが言えなかったのかもしれない。
 クラスメイトも同様に、ただ休みである事だけ周知されていたらしい。
 一応その日のニュースも調べたが、特に関係のありそうな報道は無かった。

 病欠もあり得たが、妙な胡散臭さがあった。実際、その後彼女が戻って来る事はなかった訳で。
 然し、彼女の手掛かりを僕はほぼ持っていなかった。
 家や連絡先などを本人から聞いた事はない。
 その時あったのはただ一つ。
 前日に、彼女自身から誕生日祝いと共に渡された手紙だけだ。

 手紙の封を切って中身を見た。
 この話は『ブルーベリージャムの消失』の内容である事。自分はとあるきっかけでこの話を知ってしまった事。
 そしてその内容が、焼野の字でしたためられていた。

 助けを求めていたのか、僕を道連れにするつもりだったのか。

 内容は、ここには記さない。