RECORD

Eno.232 月影誠の記録

邂逅①

そう、あれは俺がまだ5歳のときだった。
ちっちゃい頃からなかなかやんちゃだった俺は、一人でも友達とでも、その辺に遊びに行くことが多かった。
その日はそう、沼にザリガニを釣りにいくつもりだった。
ザリガニって見たことある? 赤かったり茶色かったりするあいつ。
ザリガニを見たことないやつがいんのかって?
兵庫の真ん中らへんの虚無地域には「サワガニしか見たことない」とかほざく奴が居るんだよ。やばいよな。

うん。なんか今北摩でブーム起きてるね。
何でだよ。本当に、なんでだよ!!


それはさておいて、だ。






「ごっついザリガニつったんでぇー!
 まっとれよザリガニー!」



昼下がりのいい天気。それはそれはもう意気揚々に出かけていったさ。
頭にはザリガニのことしかなかったね。へったくそな鼻歌を歌いながら市街地を歩いて沼に出向こうとした。
俺の住んでいたところは川が近くになくて、代わりにため池が多い。
浅いところは沼になっていて、そういったところは絶好の狩場。
水位のある池は子供にとっては危なかったりするしな。


「…………」



「……………………」



ところで裏世界へって扉とか窓とかに入口が生じるじゃん。
つまりタイミング的に、家の門潜った時点でおかしいことに気づくべきだったんだけど。


「……どこやここ」



10分くらい歩いてから気づくな。
見渡せばまだ明るいうちに家を出たはずなのに空は夕暮れで、踏み入れたこともない山の中に出ていた。
住んでいた場所に山はあったけれど、俺の家からは結構遠くて子供の足で行くには難しいところにあった。
普通だったら引き返すなり、泣きわめいて焦ったりするのがセオリーだろ?
だけどな、当時の俺はやんちゃなクソガキだったんだよ。


「もしかして、ごっついザリガニの住処か!?」



大はしゃぎで突っ走っていったよなぁ!!
怖い物知らずとか常識外れとかよく言われたけど、昔から好奇心旺盛でかっこいいもの好きだったんだなぁって、今でも思うよ。
だからといって見知らぬ土地ではしゃいで爆走すな。