RECORD

Eno.1095 千花 律太の記録

話2

―23時頃のどこか。


「今日は皆とご飯にいったんでしょ?気にしなくても良かったのに」

「いいよいいよ。ちゃんと渡したいもん、こういうのは。
 それに忘れたら兄さんに親不孝ってせっつかれちゃう」

陽気な声でそう言えば、目の前の人は眉を下げながらも嬉しそうに笑う。
毎年渡す母の日のプレゼント。今年は紅茶と焼き菓子のセットにした。
(こうして渡す度に、微かに、この人の顔には安堵が浮かぶ。)

「ふふ、悪いわねえ。じゃあありがたくいただきます。
 あ、紅茶。丁度お気に入りものが切れそうだったのよ。ありがとうね、律太」

「どういたしまして。それじゃあおやすみ~ 母さん」

「うん。おやすみ」




それからすぐに、家を出た。


千花 日奈子ちはな ひなこ
千花家の母。優しく子ども思いの人物。
それ以外はごく普通の一般人。怪奇を見たことなど当然ない。