RECORD

Eno.38 穂叢 焔芽の記録

4限 魔術概論

ケリア・エルストン
魔術師であり、生物学に精通した研究者。
彼女の魔術器官は先天的欠陥が存在したが、研究によって改善されたらしい。


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「では講義を始めていく。
今回は前提知識からの説明になるが、既に理解している者も気を抜かないように。」

「魔術の源流は呪術と祖を同じくし、つまり結果を得るために何かへ働きかけるというプロセスそのものに違いは無い。
今でこそ、その思想や方法論の違いによって別物として扱うが、それは我々魔術師の定義の中での話であることを留意することだ。」


呪術も、魔術も、ある特定の集団でそのように呼ばれるに過ぎない。
いずれもある組織ならば『超常』と呼称し区別しないものであり
あるいはここ学連であるならば『神秘』と呼んで特別に区別はしない。

「さて、では我々が何を以て”魔術”というものを定義するのかに移ろう。
主に法則性を以て神秘を理解する、という点において一貫するが……」


原点は、世界を解釈し、定められた法則や規則に従って事象を取り扱う技術である。
あるいは未解明の神秘に対して法則性を見出し、世界や神秘を解釈する学問そのもの。
ただし現代においては科学と区別され、神秘を理解し、理解によって得られた普遍的な法則をもとに働きかけを行い、神秘を再現しようとする行為を指す。

「より噛み砕くなら、法則性でもって神秘を扱おうとする学問、その技術ということになる。
呪術師たちの言う呪術と異なるのは、その基礎にあるのが『概念から得られる結果を取り扱う』のではなく、『結果から得られる概念を取り扱う』という点にあると、私自身は解釈している。」

「彼らは主として”言葉”という共通認識を以て術を行使するが、我々が用いるべきものは知識であり、法則であり、そして結果である。」


この点において、魔術は自然科学と類似した思考を持つ。
実際、その原点は宗教にあり、神の意図と世界の解明という命題にあり、あくまでもその中で分化した結果である。

彼らにとって、魔術として得られた技術は副産物である。
あるいはそれもまた、今や原点においては……という但し書きが付くが。
研究を目的とした者と比べ、その利用を目的とした者が、彼らに並ぶほど存在している。

「あるいはこの点について、魔術器官の保有と使用を定義とする者も少ないが存在している。
魔術器官は『物質・霊性間の接続と同期』および『対価の供給』という魔術行使において普遍的に存在する工程を完了させることに特化した器官……故にこの行使が魔術の根幹という理屈になる。」

「だがこれも、あくまで魔術の原点から生じた手順のひとつでしかない。
理論上、霊感さえ持つのであれば器官は不要であること、器官はより素早く効率良く行うという観点で昇華されたものであるのを理解すべきだろう。」


彼らもまた、怪奇などと対立し、戦闘を行う機会も存在する。
そうでなくとも、一族で研究を続けていくにあたって、必ず行う手順をいちいちゼロから実行していくのは面倒極まる。
そうして効率化の末、あらゆる魔術師たちの間で用いられるようになった形態が、この魔術器官を用いた方法だ。

「以上。我らが魔術を学ぶ意義、その原点について忘れないように。」