Eno.105 音祇葉 なしな・クユーノティオン

■ 流:結末間近


時は流れた。
嵐が訪れて、過ぎ去って。
島は、沈みはじめた。

各々が、どのような結末を迎えるにしたって
少しでも納得しながら迎えられますように




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いつから在ったのか。いつまで在るのか。
どちらも知ったことじゃあない。

私はそれでも、確かに此処に在るのだから。




…はじめは名前だって無かった。

私の話が様々な名前で広まっていく中
やがて誰かが単語の組み換え、並び替え遊びで、この名を組み上げた。

明確に私のために定められたその名は
既存の名前を瞬く間に駆逐して、私のものとなった



クユーノティオン。

多くの世界に、うっすらと広まった素朴なおとぎばなし。


数多の世界を何にも縛られず、観測されず、自由に巡るもの。
ときにそれは、ひとと接触し交流する。
それだけのおとぎばなし。
それゆえにおとぎばなし。


でも、今は。
定命世界の約一名に名前が残るばかりの、途絶済みの御伽噺。



「残念ではあっても、寂しくはないさ」



「元に戻っただけだからね」




理の向こう側から、ただ世界を眺めるもののひとつに―――


「今は矮小な物理存在の…いち遭難者だけど」



「そうそう。矮小っていうのは単なる事実で…」


「物理存在はどいつもこいつも普通に好きだよ」