■ 流:結末間近
時は流れた。
嵐が訪れて、過ぎ去って。
島は、沈みはじめた。
各々が、どのような結末を迎えるにしたって
少しでも納得しながら迎えられますように
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いつから在ったのか。いつまで在るのか。
どちらも知ったことじゃあない。
私はそれでも、確かに此処に在るのだから。
…はじめは名前だって無かった。
私の話が様々な名前で広まっていく中
やがて誰かが単語の組み換え、並び替え遊びで、この名を組み上げた。
明確に私のために定められたその名は
既存の名前を瞬く間に駆逐して、私のものとなった
クユーノティオン。
多くの世界に、うっすらと広まった素朴なおとぎばなし。
数多の世界を何にも縛られず、観測されず、自由に巡るもの。
ときにそれは、ひとと接触し交流する。
それだけのおとぎばなし。
それゆえにおとぎばなし。
でも、今は。
定命世界の約一名に名前が残るばかりの、途絶済みの御伽噺。

「残念ではあっても、寂しくはないさ」

「元に戻っただけだからね」
理の向こう側から、ただ世界を眺めるもののひとつに―――

「今は矮小な物理存在の…いち遭難者だけど」

「そうそう。矮小っていうのは単なる事実で…」

「物理存在はどいつもこいつも普通に好きだよ」