Eno.607 赤座 花子

■ 赤座花子の独白

◆クラスメイトの所感
・明智桜太郎 面白い/理解/知略
一言「恥を知りなさい」

・ヨーデル・アブラホリ 普通/理解/意気
一言「貴方もおんなじなのかしら」

・伊藤希望 普通/謎/意気
一言「謎」

・伊藤北斎 無味/不理解/知略
一言「どこでも寝れるなんて不思議だわ」

・箙凹之 普通/理解/技巧
一言「じんわり来るのよね」

・円山かける 面白い/謎/知略
一言「これから馴染んでいきましょ」

・鉄原すばる 普通/不理解/技巧
一言「花火、また上げて頂戴ね」

・城内泉 普通/不理解/技巧
一言「水分大丈夫?」

・小林彩乃 無味/不理解/技巧
一言「総合的に見てやや無能」

・小比類巻新夜 無味/謎/技巧
一言「友達?」

・金剛院鉄華 無味/不理解/意気
一言「可哀想にね」

・犀川マコト 無味/不理解/知略
一言「革命の狼煙ってやつかしら」

・獅子吼我王 無味/不理解/意気
一言「もっとやれるんじゃない?」

・志摩秋音 面白い/理解/知略
一言「きっと大丈夫」

・丁稀 普通/不理解/意気
一言「二面性があるのね」

・縞三八泳子 面白い/不理解/知略
一言「発想が常人じゃないわね」

・新出舞泉 面白い/謎/武力
一言「結局幽霊なのかしら?」

・奏スネ 無味/不理解/武力
一言「気遣いの方向が変」

・空屋敷景 面白い/謎/武力
一言「ニンジャには勝てないわ」

・小鳥遊巡 無味/理解/知略
一言「帰りましょうか」

・津雲左近 普通/不理解/技巧
一言「今度頼みたいことがあるの」

・槌屋ヒナタ 普通/不理解/技巧
一言「貴方もおかえり」

・戸狩子月 普通/理解/武力
一言「本当に頼りにできる」

・七海ナナ 面白い/不理解/技巧
一言「静かに」

・西木綾香 無味/不理解/意気
一言「少しくらいゆっくりしてって」

・灰田恵 面白い/理解/知略
一言「小良」

・宝来坂花恋 普通/謎/武力
一言「見習うべき所が多そうね」

・窓部日向 面白い/理解/武力
一言「墓参りはよろしくね」

・御坂夢莉 普通/不理解/意気
一言「人をよく見てるのかしら」

・三城華夜 普通/不理解/技巧
一言「私は好きよ、ピンク色」

・ウィンブルーム・モーゼル 普通/理解/技巧
一言「母校について気になる」

・森川エルフィンストーン 面白い/謎/知略
一言「母国について気になる」

・幽玄坂崇 無味/謎/意気
一言「頼らずに済んで良かったわ」

・弓月ユーリ 無味/不理解/技巧
一言「先輩のことは残念だったわね」



・赤座花子 無味/不理解/意気
一言「意外と生き延びられるものね」




“あの時もし、小比類巻新夜の脱出キットが見つからなかったら?”
その答えは、当時の赤座に訊かなければ正確に得ることはできないだろう。

いつも通り、死にたいなら死ねと言って突き放すこともできる。
同様に、自らの持つ脱出キットを押し付けて船に放り出すこともできた。

そうしたら。

そうしたら、誰が悲しんだだろうか。
一瞬だけぼんやりと考えて、どうでもいいことだと一蹴した。
死んだ後のことを想定しても、楽しいと思えることは一つも無かったから。

“死ねば全てが無に帰す”というのは、彼女の理論だ。
意識や精神や記憶などという、目にも見えない偶像の話は好まない。

死ねば、衣服も、持ち物も、部屋も、記録も、
身体も、墓場も、そこにいたという痕跡全て、赤座花子の全てが、
消えてしまうだろう。消されてしまうのだろう。

故に、彼女は死を恐れることもなくなった。
軽率な言動の全ては、未来を信じていてはできないことだった。




「帰ってからのことを考えると、途端に帰りたくなくなるわね」
「医療費はどうせ出ないでしょうから……新夜ちゃんのことも考えると……
 友達のことだもの、気に掛けておかないと。」
「ああ、そうだわ。アレも、お揃いの買わなくちゃ。一応。
 住所さえ分かっていたら送り付けられるのだけど、そういうわけにもいかないわ」



「これも……一体誰が作ったのかしらね、この容器。
 まあ、さておき。何処かに移さないとね。
 密閉しておけば長持ちするんじゃないかしら。ふふ、奪われるだけじゃないってことよ」





“友達”“星の記憶”“墓”。
全く関連性の無いこの三つが、彼女を如何にか結び付けた。

過去の孤独を清算した。現在に意義を見出した。未来の死を決定できた。
彼女の在り方は変わらずとも、その生に幾つかの彩が見えた。
それを手放さないように―――という高尚な信念は、彼女には立てられない。

ただ、今はそれで満足しているというだけで。





「形にしてみると、案外。投げ捨てられそうなものばかりね。
 私の気まぐれとどこまで勝負できるかしら」







神出鬼没な彼女は、あれからたまに数日間の休みを取ることがあった。

成績や授業態度への影響は少なく、特に問題を起こしたわけでもないため、
教師陣からは重要視されなかった。

家族は元々、彼女に対して無関心だった。

何より、平然と教室に戻ってくる彼女の姿が珍しくなかったからだろうか。
それを日常と認識する人も、あるいは異常と捉える人も、いるのかもしれない。








"いつか、此処に流れ着いた貴方へ"




いつか、此処に流れ着いた彼女が、ボトルメッセージを開くことがあるのか。
それは、誰にも分からない。



"かつて、この『シマ』にいた者より"




かつて、この『シマ』にいた者が、また向き合うことになるのか。
誰にも分からないとしても。









彼女の気まぐれは、まだ続くのだろう。