「……、」
いつ頃だろうか。
自分がヒーローに憧れたのは。
いつ頃、だろうか。
兄に対しての心配が過剰だと、思うようになったのは。
いつ頃、だろうか。
感情を出すのが不器用に、なったのが。
自覚はある。
笑わないわけではない。
怒らない訳でもない。
けれど、その感情が伝わりにくくて。
感受性が高ければ、俺は。
兄に。心配をかける事も、後ろにずっといるのも、なくなったのだろうか。
「……まだ、怖いよ、兄ちゃん……」
笑えない、自分が。
比嘉灼汰は嘘がつけない。
嘘の愛想笑いもできない。
だからこそ、兄の前以外では、普通の人のように笑う事もできないのだろう、と思っている。
本当は、無自覚で、ちゃんと笑えているのに。
今はもう、笑える。
>>3534984
「……、」
俺は今、どんな顔をしている。
怒りに任せた顔なのか。
動揺し、今にも泣きだしそうな顔なのか。
ひきつった笑いなのか。
目の前の自分を見ていると、どうも自分の顔が、
嫌というほど分からなくなる。
普段だって、笑えているのか、分からないのに。
「願いは、しない」
「しないけれど」
「憧れのままで、いるよ、俺は」
だって、その方が、一番理想に届くから。
ヒーローなんて、必要とされないほうが、ずっといい。
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>>3542358
「確かに、つまらないかもしれない」
「俺だって、叶わない事を憧れるのは辛いけれど」
「それを他人に任せるなんて」
「俺の生き方とは違うよ」
拒む。
完全な否定。目の前のそれは、もはや己ではないと。
願うには、十分すぎるくらい。
もう、この生き方に満足しちゃってるからさ。
「だからさ、ごめん」
「俺は君を、――」
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>>3542981
「君を、俺だとはもう思えないよ」
比嘉灼汰の本質は。
自分自身の意志を持っている事。
だからこそ、嘘はつけず、表情を作る事さえもない。
怖い気持ちも否定はしない。
笑顔がぎこちないのを気にしているのも、否定はしない。
憧れていたことも、否定はしない。
けれど、なりたいとは。
願って、手を伸ばすことはしない。
そのままの自分でも、十分好きだから。
「ごめんね」「なり替わる事を、拒んでさ」
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ENO.27


















