RECORD

Eno.579 真里谷 関の記録

memo.89

 一年以上同じ場所で生活していれば、大抵のことには慣れてしまう。どこを見渡しても洋風で、外に出れば修道服を着ている人を見ない日はない。地元の光景を思うとそれだけでもここが同じ日本だとはとても信じられないことだけど、来たばかりの頃のような驚きや違和感は今ではすっかり消えて、それも日常の風景として流している。
 そんな中で引っかかってくるのが怪奇や神秘事象。前はいっそこういうものは無視して生きたほうが良いんだろうと思っていた。いや、正直なところ今でもそう思ってる。波風を立てず、何事もないように。対象が怪奇だろうが何だろうが、何かを見て見ぬふりするなんて誰でもやっていること。多少もやもやしたものを抱えても、たぶんそのほうが快適に暮らせる。
 だけど、日常の影に見え隠れする不思議なものたちは、無視するには興味深すぎる。