RECORD
Eno.104 虚戯 遊真の記録
《甲高いブレーキの鳴き声》
《鈍い衝撃音》
転がる身体
二度目の強い衝撃
硬いアスファルトの感覚
どこか遠くから聞こえてくる人の悲鳴、叫ぶ声
鐘を打つように痛む頭
冷たくなる身体
視界を埋め尽くすほど、沢山の──────

虚戯遊真は大脳皮質に修復不可能な損傷を負っている。
原因は5年前の交通事故。
帰宅途中、自転車に乗って横断歩道を通過していた彼はブレーキトラブルを起こしたトラックと衝突。その勢いで道路脇の縁石に頭部を強打した。
本来であれば即死しているであろう大怪我であったにも関わらず、彼は意識不明の重体から一命を取り留め、更には半年も経たずに病院を退院した。
医療者はこれを人体の奇跡だと言い、彼の周りの人物の多くはそれを手放しで喜んだ。
虚戯遊真という人間は、多少の後遺症はあるものの、現在も問題なく社会の中で生活を送っている。
彼が今日まで健常者と変わらない生活ができている理由を
現代医学は未だ説明することができずにいる。
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虚戯遊真は今日も生存している
不明なレゾンデートル
《甲高いブレーキの鳴き声》
《鈍い衝撃音》
転がる身体
二度目の強い衝撃
硬いアスファルトの感覚
どこか遠くから聞こえてくる人の悲鳴、叫ぶ声
鐘を打つように痛む頭
冷たくなる身体
視界を埋め尽くすほど、沢山の──────

「…………」
虚戯遊真は大脳皮質に修復不可能な損傷を負っている。
原因は5年前の交通事故。
帰宅途中、自転車に乗って横断歩道を通過していた彼はブレーキトラブルを起こしたトラックと衝突。その勢いで道路脇の縁石に頭部を強打した。
本来であれば即死しているであろう大怪我であったにも関わらず、彼は意識不明の重体から一命を取り留め、更には半年も経たずに病院を退院した。
医療者はこれを人体の奇跡だと言い、彼の周りの人物の多くはそれを手放しで喜んだ。
虚戯遊真という人間は、多少の後遺症はあるものの、現在も問題なく社会の中で生活を送っている。
彼が今日まで健常者と変わらない生活ができている理由を
現代医学は未だ説明することができずにいる。
「ウツロギ…… ?ああ、中学ん時事故ってずっと入院してた奴か」
「あの3組の?」
「そうそう」
「あ〜……あいつさあ、事故に遭ってから変なこと言うようになってたよな」
「なんか言ってたか?」
「なんか、『線が見える』みたいな……」
「なんだそれ」
虚戯遊真は今日も生存している