RECORD

Eno.107 芟花萌花の記録

𝑻𝒉𝒆 𝒏𝒊𝒈𝒉𝒕 𝒘𝒂𝒔 𝒒𝒖𝒊𝒆𝒕, 𝒋𝒖𝒔𝒕 𝒍𝒊𝒌𝒆 𝒂𝒏𝒚 𝒐𝒕𝒉𝒆𝒓 𝒏𝒊𝒈𝒉𝒕.

幼い頃から、身の回りでは不思議なことがよく起きた。
触った覚えのないものが、動いていたり。
どこからか、変な音とか聞こえてきたり。

引っ込み思案な幼少期だった自覚はある。だけど、それらに怯えたことはあまりない。
それくらい自分にとっては、生まれ持っての普通のことで、身の回りの人がどう思っているのかだって、あんまり考えたことはなかったのだ。

兄が北摩に進学して―――母が、亡くなって。
中学生の身一つで、父方の叔母の家にお世話になることになった、あの頃までは。


「……」



夜。
紆余曲折の果て、神秘管理局の特別民間協力者となってから、この時間にはこっそりと、学業とは違う"お勉強"を続けている。
しかしこの日、その教材として複写し持ち帰った資料の中にあるとある単語に目を落とし、頁を捲る手は止まっていた。


「…………。
 超常、現象……」



どうやら。
それもまた、神秘と呼ばれるものらしい。

直後、部屋の電気が、不意に、落とされた。