RECORD
Eno.450 百鬼 舞の記録
プロローグ① 反逆のマリオネット
これは、二月のある日のこと。
舞「ねえ……お母さん。スマホ買ってよ!」
太陽が沈んだ薄暗がりのダイニング。百鬼舞は洗濯物を畳む母に訴えていた。
舞の母親「いつも言ってるでしょ、高校生になったらね。あと一年がまん。」
舞「えー。学校じゃみんな持ってるよ。わたしも欲しいの!」
母の肩に触れて訴えかける。
舞の母親「よそはよそ、うちはうち。
とっととお風呂沸かしてきなさい。」
母親は洗濯物を畳み続ける。
ここまでは親子の何気ない会話だ。
舞「もう!いつもいつも…!
お母さんって、ホント"毒親"だよね!
お母さんなんて、いなくなればいいのに!」
これも反抗期の親子の、何気ない喧嘩なのだろうか。
舞はお風呂のスイッチを入れると、怒った顔で自室に戻っていった。
自室に戻った舞は人形遊びを始める。
人形は、良い。
自分の思い通りにできる。
この世界も自分の思い通りにできればいいと、この思春期の女子は何度思っただろうか。
彼女は薄暗い部屋に差し込む月明かりの中で、棚に飾られた美しい人形に目を向ける。
本日の"主役"は美しい金髪碧眼の魔女、舞が"アフロディーテ"と呼ぶ人形だ。
そして、人形劇の幕が上がる。
舞「ここは、どこか遠い世界の、とある王国。
王国はそれなりに豊かでしたが、民に自由はなく、民は虚な目で空を見上げるのみ。
あらゆる娯楽は、禁じられていたのです。」
今回のスマホをめぐる、些細な争い。それを自分の物語に変えていく。
アフロディーテは言う。
舞「ああ、嘆かわしいこと。みんなに笑顔がないなんて。お母様は、やはりおかしいのです。」
舞「王女アフロディーテは母である女王に、民に娯楽を与えるよう、何度も訴えていました。」
そして、次第にアフロディーテは民衆の中心に立ち、娯楽、彼女が言うところの"幸せ"を取り戻していく。これは、そんな物語。
舞は心の奥底に渦巻く葛藤や孤独を、小さな偶像たちに乗せていった。
---
母親のスマートフォンに着信が入る。
舞の母親「ええ、はい、そうですか。
わかりました。すぐ向かいます。」
舞の母親「舞。お母さん言ってくるから、先お風呂入っててね。」
母親は支度が済むと家から出ていった。
母親の声を聞いたのは、これが最後だった。
舞「ねえ……お母さん。スマホ買ってよ!」
太陽が沈んだ薄暗がりのダイニング。百鬼舞は洗濯物を畳む母に訴えていた。
舞の母親「いつも言ってるでしょ、高校生になったらね。あと一年がまん。」
舞「えー。学校じゃみんな持ってるよ。わたしも欲しいの!」
母の肩に触れて訴えかける。
舞の母親「よそはよそ、うちはうち。
とっととお風呂沸かしてきなさい。」
母親は洗濯物を畳み続ける。
ここまでは親子の何気ない会話だ。
舞「もう!いつもいつも…!
お母さんって、ホント"毒親"だよね!
お母さんなんて、いなくなればいいのに!」
これも反抗期の親子の、何気ない喧嘩なのだろうか。
舞はお風呂のスイッチを入れると、怒った顔で自室に戻っていった。
自室に戻った舞は人形遊びを始める。
人形は、良い。
自分の思い通りにできる。
この世界も自分の思い通りにできればいいと、この思春期の女子は何度思っただろうか。
彼女は薄暗い部屋に差し込む月明かりの中で、棚に飾られた美しい人形に目を向ける。
本日の"主役"は美しい金髪碧眼の魔女、舞が"アフロディーテ"と呼ぶ人形だ。
そして、人形劇の幕が上がる。
舞「ここは、どこか遠い世界の、とある王国。
王国はそれなりに豊かでしたが、民に自由はなく、民は虚な目で空を見上げるのみ。
あらゆる娯楽は、禁じられていたのです。」
今回のスマホをめぐる、些細な争い。それを自分の物語に変えていく。
アフロディーテは言う。
舞「ああ、嘆かわしいこと。みんなに笑顔がないなんて。お母様は、やはりおかしいのです。」
舞「王女アフロディーテは母である女王に、民に娯楽を与えるよう、何度も訴えていました。」
そして、次第にアフロディーテは民衆の中心に立ち、娯楽、彼女が言うところの"幸せ"を取り戻していく。これは、そんな物語。
舞は心の奥底に渦巻く葛藤や孤独を、小さな偶像たちに乗せていった。
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母親のスマートフォンに着信が入る。
舞の母親「ええ、はい、そうですか。
わかりました。すぐ向かいます。」
舞の母親「舞。お母さん言ってくるから、先お風呂入っててね。」
母親は支度が済むと家から出ていった。
母親の声を聞いたのは、これが最後だった。