RECORD
Eno.14 卯日 蜜奈の記録
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チャペルから帰るや否や、
何かをする気になれずベッドに倒れ込んだ。
そのまま横たわる気でもいられなかったから、
顔の前で手を組んで、祈る先もないのに、懺悔するみたいにしていた。
そうしていると、じきに涙が溢れてくる。
数多の視線があたしを観ている気がした。
遍く世界があたしの繕った上部に焦点を当ててるような気がした。
運がいいだけだ。天使信仰を教える学連、有名な大企業、女優の母、芸能に纏わる組織。
それらの力を借りて立っているだけで、それに対するまともな批評を聞けるほど、歩んできた道程はあまりにも少なすぎて、あたしの敷いてきたレールですらない。
自分のずっと側にあったものは、どうしようもないほどの腐敗か、創作の夢ばかり。
隠し続けて、でも隠すこと自体が己を否定していたのだと気付いてしまった。

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悲しかった。
ただ、悲しかったんだ。
今でも誰かを楽しませる役者で、
誰かを支える友人で、誰かを導く隣人、
運に突き動かされるままに、習ってきたこと、培ってきたことを表現して、こんなにも素敵な成果を手に入れられてるのに。
あたしの心ばかりが追いつかなくなっていく。
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あたしは鏡像の星。
決してお姫様にはなれない。
だけど、あたしは、世界で一番美しいものを映す。
偶像も天使も同じ、心のなかで輝く、借り物のあたしの理想を。
揺るぎないイメージを抱くことこそが、
神秘に触れる一番の助けとなる。それも教わったことだから。
一歩一歩進みながらも、地を発つ想像を焼き付けて。
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乾いた目を開いた時、あたりは明るくなっていた。
ひどく暑い、初夏を感じさせる朝だった。
日差しをいつもよりも身近に感じていた。
自分とカテゴリが似通い、神秘の手解きをしてくれる彼の名もまた、“日”を含んでいた。
「……」
夢を鏡として終える覚悟は済ませたはずなのに。
母の、聖書の、友人のために在るあたしで構わないのに。
自分が他者の輝きを映し出す意味を。
自分でなくてはいけない理由を。
自分だけが持っている特別を。
あるかもしれない“自分らしさ”を、今もまだ探している。
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天漂う緩速 7.9km/s
「このままじゃ口を滑らせてしまいそうで、」
チャペルから帰るや否や、
何かをする気になれずベッドに倒れ込んだ。
そのまま横たわる気でもいられなかったから、
顔の前で手を組んで、祈る先もないのに、懺悔するみたいにしていた。
そうしていると、じきに涙が溢れてくる。
数多の視線があたしを観ている気がした。
遍く世界があたしの繕った上部に焦点を当ててるような気がした。
運がいいだけだ。天使信仰を教える学連、有名な大企業、女優の母、芸能に纏わる組織。
それらの力を借りて立っているだけで、それに対するまともな批評を聞けるほど、歩んできた道程はあまりにも少なすぎて、あたしの敷いてきたレールですらない。
自分のずっと側にあったものは、どうしようもないほどの腐敗か、創作の夢ばかり。
隠し続けて、でも隠すこと自体が己を否定していたのだと気付いてしまった。

あたしだって、
あたしだって、変な話だと形容したくない。
こんなにも好きなのに。
偶像に対する焦がれるほどの恋が。
同性同士の燃えるような愛や、生温いブロマンスが。
現実の男の子たちの仕草一つ一つへの火照るときめきが。
悲しかった。
ただ、悲しかったんだ。
今でも誰かを楽しませる役者で、
誰かを支える友人で、誰かを導く隣人、
運に突き動かされるままに、習ってきたこと、培ってきたことを表現して、こんなにも素敵な成果を手に入れられてるのに。
あたしの心ばかりが追いつかなくなっていく。
今までだったら都合のいい誰かが、
頭の中で抱きしめて、慰めてくれるのをつっぱねて、
泣いて、泣いて、枯れるまで泣いた。
そうしながら、あたしは神秘を心得た。
時には湯気の立つような出来立ての料理の熱。
時には暴走して身体中の血管を巡る妄想の熱。
時には──皆を照らし、植物を育む、太陽のような熱。
紛い物の、けれど確かにここにある暖かさ。
あたしは鏡像の星。
決してお姫様にはなれない。
だけど、あたしは、世界で一番美しいものを映す。
偶像も天使も同じ、心のなかで輝く、借り物のあたしの理想を。
揺るぎないイメージを抱くことこそが、
神秘に触れる一番の助けとなる。それも教わったことだから。
一歩一歩進みながらも、地を発つ想像を焼き付けて。
天を観せる。
天を、魅せる。

乾いた目を開いた時、あたりは明るくなっていた。
ひどく暑い、初夏を感じさせる朝だった。
日差しをいつもよりも身近に感じていた。
自分とカテゴリが似通い、神秘の手解きをしてくれる彼の名もまた、“日”を含んでいた。
「……」
夢を鏡として終える覚悟は済ませたはずなのに。
母の、聖書の、友人のために在るあたしで構わないのに。
自分が他者の輝きを映し出す意味を。
自分でなくてはいけない理由を。
自分だけが持っている特別を。
あるかもしれない“自分らしさ”を、今もまだ探している。
「 Who is the fairest of them all? 」
「それはね、 」