RECORD

Eno.316 宵空 藍衣の記録

蜩?繧呈爾縺励※

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「──はぁ⋯っ、はあ⋯⋯!」



⋯なんで、こんなところにいるんだろう。
なんで、私は⋯ここに、立っている?

視界が霞む。
それは恐怖故か、それともこの"世界"の性質か。
空気はぼんやりと色を失ったかのようで、無機質めいたただそこにあるだけの橙色の輝きが世界を彩っている。

確か⋯
ただ、歩かなければ⋯走らなければと思った。
立ち止まれば、この世界に⋯飲み込まれるような、そんな恐怖からか。
それとも、何かに⋯追われていたのか。
今はあまり思い出せないけれど⋯。

ただ⋯覚えていることもある。
走り続けて、走り続けて、走り続けて、
走り続けて、走り続けて、走り続けて、
走り続けて、走り続けて、走り続けて、

走り続けて、走り続けて、

走り続けて、

終わらぬ恐怖と絶望に涙も動悸も収まらなかったこと。
疲れて歩くと、胸が空っぽになりそうな、喪失感。
それだけは、はっきりと覚えている。

「──⋯⋯、っ」



足を止めた。
ふと、視界の住みで何かが揺れたからだ。

振り返った時、私は、それを"視た"。
顔も、輪郭も、存在も、定義できない情報を。
身体は、動かなかった。
あらゆる理性が、それを前に縛り付けられているようで。

──、はっきり覚えているのはここまでだ。
結果から言えば、私は助かっていた。
何かをされたのか、どうなったのかは覚えていない。
事実として、検査の結果としては今も変わらず私は人間である。
つまり、取って代わられるだとか、実は既に世の存在ではないだとか、そういうわけではないらしい。
その事実を確かなものとした時⋯私は。

失ったものに、気がついた。