RECORD
Eno.139 浮季草 斂華の記録
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自宅のベッドの上でスマホをいじっていて、髪を染めた女子が映る度に思う。去年から、髪を染めた理由だ。
高校に入ってから──いや、裏世界に入って、完全に変わってから、色々と絡まれる機会が増えた。
これが、治安が悪くなっただけなのか、身体が成長したからなのか、神秘の影響なのかは分からない。
ただ、髪を切ってからは明らかに少なくなった。女らしくする必要も無くなったから、多少短くしても問題無いって判断して短くした結果だけれど。
だから、たぶん、見た目の問題。
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高校に入って暫くしてから、染めてる人を度々見かけたから、染めてみようかと思って母に相談したらノリノリで返された。母は身長が私より低いながらも茶髪に染めているから、かなり信憑性が高い。
どうしようか悩んだけど、一旦全部染めるのは怖いから、インナーカラーを試してみることにした。
色も付けられるというから、髪留めの黄色にしようかと思ったけど、色合いが被るからと言われ、青色にしてもらった。

やってもらったら案外、いい感じに威圧感は出ていると思った。実際、この髪にしてから、絡まれる事は全く無くなった。知り合いにはちょっとだけ心配されたし、青色になったのは、少しだけ複雑だったけど。
ただ、自分を着飾るなんて、考えた事は無かった。
だって、女装して女子の中に紛れ込むなんて、不誠実にも程がある。
……なんて考える辺り、今でもどこか、元に戻りたいと思ってるのは確か。男らしい、というか、男だからできる馬鹿話をしている男子を羨ましく思ったり……嫉妬したりする。
そんな未練も、どこかにある。でも、それを表立って言うことはできない。
原因はまだ隠さないといけないし、そうでなくたって、こんなセンシティブな問題、友人どころか、親にだって相談することもできない。
……だから、知り合ったばかりの年上の"同性"は、何かと都合が良かったのかもしれない。
イヨさんと話して、初めて今の自分の問題について他人に話して、今の自分の姿を着飾る……わざと抵抗のあることをして、吹っ切れる事が、必要なんじゃないかと思い始めた。
それは即ち、その結果如何では、全てを諦め、受け入れるということ。男に戻ることを諦め、女として過ごすということ。
これは、よく言われる『自分らしさ』が大事とか、そういう話とは全く別の問題。過去に起きた事件の傷を、治さずに、そのままにするという選択。
一つのバッド・エンド。
でも、そうするしか無いんじゃないかと思い始めているから、今こうしてスマホを覗いて、衣装を確かめている。
イヨさんが提示した案のうち、第一案のフリフリのドレスを着る勇気は無い。
第二案の袴は、どうせ今後着る機会がありそうだし、落ち着いているから割と嫌じゃない。
そして第三案に提示された──何か、地雷系とか言うらしい──の衣装を調べてみると、第一案より落ち着いた感じはする。だけど、それを着た自分を想像して思う。


自問自答して、枕に頭をボフンボフンと埋めて、悶絶した。
……別の話になるけど、インナーカラーには結構なお金がかかるというのは、割と盲点だった。
脱色だけなら安いけど……一度この色って決めちゃうと……変えづらいんだよなあ。
バイトを始めてからも、鎧は結構有効だったので、そこは利点かな。
着飾るという、一つのバッド・エンド
>>234016
「これは……どっちかと言うと、鎧なんで。」
髪を染め、着飾る事が目的ではないと言う。
自分を守るための、身にまとう警戒色の様なものであると。
「着飾るってなると、ちょっと、まあ、恥ずかしいっすね。」
自宅のベッドの上でスマホをいじっていて、髪を染めた女子が映る度に思う。去年から、髪を染めた理由だ。
高校に入ってから──いや、裏世界に入って、完全に変わってから、色々と絡まれる機会が増えた。
これが、治安が悪くなっただけなのか、身体が成長したからなのか、神秘の影響なのかは分からない。
ただ、髪を切ってからは明らかに少なくなった。女らしくする必要も無くなったから、多少短くしても問題無いって判断して短くした結果だけれど。
だから、たぶん、見た目の問題。
母
「ああそれ本当にそうだよ。
髪染めたりするとぐっと減るの。斂華も染めて良いよ!絶対楽になるから!」
高校に入って暫くしてから、染めてる人を度々見かけたから、染めてみようかと思って母に相談したらノリノリで返された。母は身長が私より低いながらも茶髪に染めているから、かなり信憑性が高い。
どうしようか悩んだけど、一旦全部染めるのは怖いから、インナーカラーを試してみることにした。
色も付けられるというから、髪留めの黄色にしようかと思ったけど、色合いが被るからと言われ、青色にしてもらった。

「……すっご。」
やってもらったら案外、いい感じに威圧感は出ていると思った。実際、この髪にしてから、絡まれる事は全く無くなった。知り合いにはちょっとだけ心配されたし、青色になったのは、少しだけ複雑だったけど。
ただ、自分を着飾るなんて、考えた事は無かった。
だって、女装して女子の中に紛れ込むなんて、不誠実にも程がある。
……なんて考える辺り、今でもどこか、元に戻りたいと思ってるのは確か。男らしい、というか、男だからできる馬鹿話をしている男子を羨ましく思ったり……嫉妬したりする。
そんな未練も、どこかにある。でも、それを表立って言うことはできない。
原因はまだ隠さないといけないし、そうでなくたって、こんなセンシティブな問題、友人どころか、親にだって相談することもできない。
……だから、知り合ったばかりの年上の"同性"は、何かと都合が良かったのかもしれない。
イヨさんと話して、初めて今の自分の問題について他人に話して、今の自分の姿を着飾る……わざと抵抗のあることをして、吹っ切れる事が、必要なんじゃないかと思い始めた。
それは即ち、その結果如何では、全てを諦め、受け入れるということ。男に戻ることを諦め、女として過ごすということ。
これは、よく言われる『自分らしさ』が大事とか、そういう話とは全く別の問題。過去に起きた事件の傷を、治さずに、そのままにするという選択。
一つのバッド・エンド。
でも、そうするしか無いんじゃないかと思い始めているから、今こうしてスマホを覗いて、衣装を確かめている。
イヨさんが提示した案のうち、第一案のフリフリのドレスを着る勇気は無い。
第二案の袴は、どうせ今後着る機会がありそうだし、落ち着いているから割と嫌じゃない。
そして第三案に提示された──何か、地雷系とか言うらしい──の衣装を調べてみると、第一案より落ち着いた感じはする。だけど、それを着た自分を想像して思う。


「……本当に似合うか、これ!?」
自問自答して、枕に頭をボフンボフンと埋めて、悶絶した。
……別の話になるけど、インナーカラーには結構なお金がかかるというのは、割と盲点だった。
脱色だけなら安いけど……一度この色って決めちゃうと……変えづらいんだよなあ。
バイトを始めてからも、鎧は結構有効だったので、そこは利点かな。
