RECORD
潜入後・累卵道にて ≪壱≫
――累卵道 とある家屋の1つ

「それで、ラジオの件はどんな調子?唐。」
寝食ぐらいしか行わないお粗末な住処で、ハナコと唐は夕餉を食べていた。
本日のメニュー、移動弁当屋【イオディス・ルルディ】より購入したクソデカ盛り盛り唐揚げ弁当…表世界から仕入れた後、匂いにつられた怪奇をとっちめながらここまで運んできたのだった。

「姐さん」

「向こうと連絡が着く手段は得た?」

「姐さん、待って、これは流石に重い。
そら肉、肉ッつッたのは吾だけど、クソデカは望んでねェ!」
平然と食べ進めるハナコと違い、管狐がぎゃんと鳴く。泣いている。
そら美味しい、美味しいさネ、だが量が許容量越えてンだよなァ…!
そろそろ胃薬用意した方がイイ気がする。

「食べ切れないなら他の子狐ちゃんにあげたらいいじゃない。
もしくは私が食べる。」

「…ハナの姐さんッて、昔からそンな大食漢だッたンですかイ?」

「能力の関係上ね。」
ぱく、と醤油味の唐揚げをひと口齧る。うーん、ジューシー。
そして、一度逸れた道をもう一度戻す。

「で、アテは出来た?」

「あァ…朱無垢屋…角落としの姐さんがいらッしャるでしョう?
ほら、あの"化かし夜"にいなすッた。」

「うーん、ピンときてません。」

「ア、姐さんテン虫騒ぎになッた時に戻ッてきたンだッけか…
まァ兎にも角にも、他の伝手ぐらい得られたらいいか~ぐらいの気概で、
今日工房にお邪魔したンですわ。」
そンで…と、唐は口直しの安酒を煽りながら伝えようとするが――
>>173119
>>173056 一通りの話を聞き終えて、ちらりと目を逸らす。
二、三度の瞬きをして、角落しはゆっ……くりと、息を吐いた。
「そこまで見立てれてんならまぁどうにかなるだろ。。」
「霊界ラジオ……作り方と方法と結果が明確な良い題材だ。知らなかった。」
指を顎に添え、チラチラの目を動かしながら、角隠しは喋っている。
その声はひと事も洩れず、貴方の耳に入るだろう。
「前提だ。起点は定めたら動かすな。精密細工の設計図と同じで、余白や可能性の余地を残し過ぎるほど“結果がブレる“。」
「必要な補強は、言葉を送る為の『道』。」
重ねる。↓
>>175385
>>173119
>>173056
「……ウン、管狐だな。ラジオの中に組み込め。そいつは使い手に従い、助言や占いに使われるモンだろ?霊界ラジオと用途が近い。意味の近さは相性の良さだ。」
「そも狐は境界を渡る生き物だ。それも合わせて重ねろ。」
「……オレが今思いつくのはこの辺り。」
「外観を治すのと管を作るのはオレで出来る。ラジオとしての中身は無理だな。螺鈿通りの奴にまるっと作って入れてもらえ。狐の調教はおまえさん次第かね。」
そこまで言いきって、角隠しは貴方の顔へ向き直る。
「当然、これはオレの考えだ。当るかどうかも分からん。」
───────どうする?
ツン、と貴方の額に指を突く。角隠しはコレを躱させず、逃げさせない。↓
・・・
>>180263
>>180222
「いいよ。」
パン!と柏手ひとつ。単純明快、数秒前の静けさとは打って変わった軽やかな音。その一瞬で、あなたの聴覚は戻ってくる。
角隠しはその手を開き……そのまま、何かを飲み込む。
「ただ刻限は決めておくぞ。其れを過ぎる前に、その花の姐さんと一緒に来な。」
「今日の駄賃も頂いた。“今日アンタが持ち帰れるのは、“アタリを見つけた“事実と確信、感覚だ。それ以外は置いて帰ってもらう。“今喋った知恵はあんたさん用の“商品“だ。そしてオレは、後払いにゃ対応してねぇ。」
そして気づくだろう。さっき得た確信と手応え。……それが真で有ることは間違いないと分かるのに、その具体的な内容が分からない。
「色のいい答えを期待してるぜ。お客様。」

「………あァ~、ンだけッなァ…
とにかく、アタリは見つけたンですよ。そンで、
支払いをどうするかは姐さんと話して決めるッてことで持ち帰ッたわけで。」

「あら、もしかして~…化かされた?」
曲がりにも狐なのに~?
と、わざとらしくププー笑い声を零せば、否定出来ずぅ…な歯痒そうな顔を浮かべ、
残してしまった唐揚げを子狐に食べさせてる。1つに3匹ぐらい群がるぐらいの美味しさ!
…まぁ、相手に関してはまだ顔と人物が一致していないという状態だが、しっかりしているという印象は伝わる。
そりゃそうだ、言葉だけで商品となるほどの"確固たる情報"ならばタダで渡してるも同然。その上、こうして五体満足で『支払いは一考のために持ち帰る』が罷り通ったならば、ある程度彼を信頼してくれているという証拠でもある。
(ここの住民ならいつ手が出てもおかしくないけれどね)

「…支払い、ねぇ。それはちょっと困るかも。」

「でしョ?目的さえ遂行出来りャ、吾らは大体を差し出せる。
特に姐さんに関しては、最悪帰れなくてもいい気概だろうサ。」

「そうねぇ~、…あーでも、とりあえず目的が完遂するまでは五体満足でいたいわね…」

「後払いは却下されたしなァ…」
その辺り、許されるだろうか?心臓を寄越せと言われたら他を犠牲にするしかないナ。
という考えが二人で一致するのだから、こいつらも割と住民素質はある。
さて、支払いに関して。
まず、目的が完遂されるまでは身体の保障は譲れない。
そもの前提が崩れてる現状であり、"向こう"と連絡がつかないと様々 の確認が取れず、本来の任務を行えない。
その様々の確認が取れたのならば、まぁ、考えなくもない。ただ唐に関してはハナコほど身を犠牲には出来ない、旅の商売人が簡単に命を取られたら顧客が迷惑を被るし、上司に関しては『うちの唐が世話になったん~?どの面してるか拝みに行きたいわぁ~』と神秘氾濫事案になりかねない。
で、あれば。

「とっておきの商品を譲るとか?」

「あの方の酒の好みは既に聞いてますから若干既出感がなくも」

「…こういう時って、怪奇の感覚?というのが掴めないわねぇ…」

「身体だの命だのッて、ぶッちャけ安臭くも聞こえますしねェ。
玖墨様なら『うちを愉しませてな』ッてずッと足元焼いて躍らせそう。」

「(スルーしつつ)動きを制限されるのも困るし~…」
結論としては、【目的の遂行に差し障りない程度のもの】に落ち着いたのであった。
依然としてふわふわとしている対価だ…もう直談判でええんじゃないかな…

「そういえば、ラジオは?」

「あッ(今更)」

「…まぁいいでしょう、替わりを探すも面倒だし。
必要なら、"目的"について彼女に話してもいいかもしれないわね。
そうしたら後払いも一考してくれるかもしれないし。」

「そうですねェ……姐さんが優しかッたらの話ですが…」
そこで、一区切り。
すっかり空になった弁当箱を片付け、茶を淹れつつ一息入れるのであった。
(続)

