RECORD

Eno.227 朧 戒の記録

朧②

俺には6つ離れた歳の姉がいて、3つ離れた歳の兄がいる。
兄弟仲はそれぞれ良い方だとは思っている。
成年を迎えれば姉はすぐに嫁に行き、残った兄と俺が家に残り
そこそこうまくはやっていたと思う……周囲からの圧力が加わる前までは。
家督継承に関して、兄は俺を気にかけたが俺はそんな兄はほんの少しだけ嫌いだった。
俺達のそういった関係の、ほんの少しの綻びを周囲の親族達が見逃す事はなく
朧の一族は今二つに割れていた。

朧の家系に現れる身体的特徴。遺伝により引き継がれるその潜在能力の
高さを測る目安ともなっている白髪の割合が姉弟間で顕著に表れているせいか
俺達は幼少期の頃からそれぞれがその能力に合わせて区別をされて育ってきている。

面倒な事に、順当に家督を継ぐかと思われる兄と同様の教育を俺も受けていた。
それどころか幼少期に神秘に触れたのもあり、親父はどちらかというと
兄よりも俺の方をより厳しく鍛え上げた。そんな親父を恨んだ事もあった。

俺にはそもそも式神を操る才能が無い。術師としては致命的に思えた。
式神の能力が無い代わりになのか、天津甕星 (あまつみかぼし)うつろわざるものが俺の内に宿った。
戒という名が表すかのようないましめの力は、朧に伝わる術をより強く行使させる為のものでもあった。
今になって思えば、親父には神秘に触れた俺が神秘能力に目覚める事を見越していたのかもしれない。