RECORD

Eno.26 朔 初の記録

CASE:1


いつなる時も選択をしなければいけないのだが、それがわからない年頃というのは当然存在する。
人間が判断するにはある程度の知能が必要であるが、幼子にそれをしろということはあまりに酷なことである。
”親ガチャ”なる俗っぽい言葉が子供の中では流暢に使われる世の中であるが、そういった子供の知能では判断できない場合、親が判断し、守るか、放つかを決めるのが良い親の一つの指標であるとはこの場においての一説としておこう。
では、あえてこのように嫌悪感を煽る言い方をするが。

親ガチャ失敗の場合はどうなるというのだろうな。
誰も護らず、誰も味方にせず。
そうして彼女だけが残り。


幸運な息をしていない。







「ね、ならはつちゃん」



「おばあちゃんたちと一緒にくらそうか」



子供は縦に頷いた。
悩むことなく。
すぐに決めて。

それをひどく後悔するのだ。






その女の子は、小学校にはいない女の子だった。

いろんな小学校が集まって中学校になるのだけど。

その女の子は、どこの小学校の子でもなかった。
誰に聞いても知らなくて。
誰に聞いても他人の子。

聞けば、東京から引っ越してきて、中学生の入学式を迎えているのだという。

小学生の中学年みたいに小さな身長。
ふわふわの猫みたいなくるくるの髪の毛。
翡翠みたいな強い緑の目。
どこかぼうっとして、どこかに消えてしまいそうな。

そんなあの子は、そこにいた。