RECORD

Eno.32 不藤識の記録

record. 『Even if it rains tomorrow』

 雨の日に語ったこと。

「世界が」
「広い世界が見えています」


「未来を諦めるにはまだ若いじゃないですか、お互い」


「どうしたって燻り続けるものがあるんでしょ。自分の人生に結論付けるのは、三途の川を渡る時だけでいいんですよ」


 自分はいつの間にか、そんなことを言えるようになったんだなと。
 何故か、誇らしく思えた。


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「人と関わるということを、覚えてしまったからな…。自己満足だろうと、別れぐらいは伝えに行く」


 迷いを振り切れた切っ掛けとしては、この言葉が最後のピースになった。
 彼の言葉は自分と重なるところが多くて、自分がどんな気持ちを抱いて今まで過ごしていたのかを、しっかりと思い出させてくれた。
 らしくない悩み方をしたな、と今でも思う。
 彼の悩みにも、光が差すことを祈ろう。


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 いつの間にか男子どもに話が広まっていた、或いは察せられていたらしい。
 誰を見ているのかはお見通しと言う訳か。
 ……まぁ、相談に乗ってくれるのはありがたいし、嬉しい。自分に向けられる言葉って、思っている以上に温かいものだ。
 彼等の前で素直に喜べないのは、悔しい気持ちがあるからだろう。全くもって恥ずかしい話である。
 誰にも明かすつもりは無いけどね。

 この感情に結論なんてついていないけれど。
 何もしないより、一歩踏み出したい。
 今よりずっと、もっと。みんなの事を知りたいよ。


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 心のどこかに焦りがあった。
 心のどこかに迷いがあった。
 終わりが近づいて気が抜けたか。
 それとも、今が崩れてしまうことを恐れたか?

 どちらにせよ、随分とらしくない事をした。
 もう一度、初心を思い出そう。

 自分以外のことを知りたい。
 この広い世界を見つめていたい。
 それが、今のすべて。

































































「……」
「長生き、したいな……」