RECORD
Eno.182 ■■ ■一の記録
-4 経由して、神秘に迫る
異様な神秘を携えている者として、私は神秘管理局に管理される存在となった。表向きは民間の協力者として扱われているが、実情は囚人とそう変わらない扱いだ。
立場を隠匿するため、管理局は老人がいても違和感が少ない研究課、拒否が原則として許されない弱い立場、その結果として、私は必然的に志願者の少ない場での雑用を担う形に回される。
そこは衛生課が手を尽くした先にある場所だった。かつて生命を宿していたモノたちを暴き、そこに伏せられていた神秘性を解析する役割。
神秘や怪奇を元凶とする様々な成れの果てを見た。損傷度のバラつきこそあったが、どれもが例外なく既に終わりを迎えた後。私より遥かに若い者達も少なくなかった。原形を留めない者も珍しくなかった。しかし結局はどれも骸――抜け殻でしかない以上、私は何の感慨も抱けなかった。
「思った以上に変わらない」というのが正直な感想だ。生命として持っていたことや勝ち得たものは全てが例外なく消え失せ、残るのはただ腐敗や崩壊を待つ物質ばかり。
どうやら長い停滞の末に私の情動はすっかり枯れ落ちてしまったらしい。精神を病むような元気もなかったし、何より私にとっては未知の概念だった神秘や怪奇を理解することで手一杯だった。
一度や二度ほど生の空虚を嘆くことぐらいはあったかもしれないが、そうしたところで現状が改善するわけでもない。
この時の私にできたことは、死を経由して神秘に迫る独自の研究だけだった。
全ては抱えた罪を少しでも償うために。
立場を隠匿するため、管理局は老人がいても違和感が少ない研究課、拒否が原則として許されない弱い立場、その結果として、私は必然的に志願者の少ない場での雑用を担う形に回される。
そこは衛生課が手を尽くした先にある場所だった。かつて生命を宿していたモノたちを暴き、そこに伏せられていた神秘性を解析する役割。
神秘や怪奇を元凶とする様々な成れの果てを見た。損傷度のバラつきこそあったが、どれもが例外なく既に終わりを迎えた後。私より遥かに若い者達も少なくなかった。原形を留めない者も珍しくなかった。しかし結局はどれも骸――抜け殻でしかない以上、私は何の感慨も抱けなかった。
「思った以上に変わらない」というのが正直な感想だ。生命として持っていたことや勝ち得たものは全てが例外なく消え失せ、残るのはただ腐敗や崩壊を待つ物質ばかり。
どうやら長い停滞の末に私の情動はすっかり枯れ落ちてしまったらしい。精神を病むような元気もなかったし、何より私にとっては未知の概念だった神秘や怪奇を理解することで手一杯だった。
一度や二度ほど生の空虚を嘆くことぐらいはあったかもしれないが、そうしたところで現状が改善するわけでもない。
この時の私にできたことは、死を経由して神秘に迫る独自の研究だけだった。
全ては抱えた罪を少しでも償うために。