RECORD

Eno.26 朔 初の記録

CASE:2

その子はまさしくお人形さんみたいだった。

背が小さくて、顔は可愛くて。
細っこい毛はくるくるしてて、大きなリボンが二つついてて。
それなのに艶々の髪で、どこかぼうっと、緑の目が瞬いてた。
一番小さいサイズの制服は、どこかブカブカとしていて、身の丈に合ってなくて。
それはその子の身長の大きさを表しているようだった。

周りの子は、どれだけ小さくても145以上はあるのだけれど。
身体測定で測ったその子の身長は、140に少し満たなかった。
周りの子と並べると、頭が一つ小さいみたいで。
やっぱり、動くお人形のようだった。

私がその子を初めて見かけたのは、入学式の時だったと思う。
そんな感じで何もかもが目立つ子だったから、周りの子と入学式が始まるまで、久々話していたのを覚えている。
保護者の声も相待って、ざわざわした中に私たちの噂話も消えてしまったことだろう。


「あそこの子うちの学校じゃないけどどこの学校だろうね」



「あんま人の話するのもよくないけど目立つもんな。ちっちゃくない?」



「わかる。めっちゃちっちゃいよね」



とはたわいのないことを話すか。
それでおわりのはなし、のはずだった。


友達ともクラスは一緒だったけど。

その子ともクラスは同じで。

席も近かった、というわけだった。

自己紹介の時間に移れば、それぞれが名前を告げていく。
私も告げて、そして彼女の出番も当然くるのだった。
制服がブカブカだからか、どことなく動きづらそうな動きで。
手を動かして、背筋を伸ばして。

「………」



「…はつ、です。……よろしく、お願いします」



その子は、苗字を言い忘れているようだった。
わざと言わないように見えたが。

手を叩いて拍手を送れば、その子はすとん、と座ってみせるか。

のぞいていた横顔。

不安と、緊張もそうだけれど。


何より、怯えている小動物のそれだった。
初めて見る教室。
初めて見る生徒、たちに。

必要以上に、警戒する、それだった。