RECORD

Eno.37 ルネ・シラーの記録

揺籃④限りなき命の子よ、悪魔の誘いからあなたを守ろう。

波紋の広がる音。

熟れた果実が地に落ちるような音。

果実をついばむ鳥の羽ばたき。

木々のざわめき。蛇が地を這いずるような音。

草木を分けて進む獣の足音。


AM4:00
神秘が顕現する。


???
正体不明の神秘実体。夢うつつで眠るシラーの枕元に毎晩出現している。
神秘の言い回しは独特で、その言葉の全てになにか含みがあるように感じられる。
あるいは単に口下手なだけかもしれない。



「どうですか。」




「あなたの所属する学連。
そこは居心地の良いものでしたか。」



「あなたの助力を求める
彼らのねがいには耳を傾けましたか。」



「ルネ・シラー。
神秘を識る彼らは皆、よき純粋な者たちです。
どうか懇意に。」



「先触れの鳥が告げています。
身構えなさい。この地では何か、尋常ならざるものが目覚めようとしています。」



「命の子よ。先ずはなかまを増やしなさい。
志を同じくする者との絆は、いずれ大きな脅威と立ち向かう際の心強き力となるでしょう。」



「良いですね?」


はい

「命よ、先の見えない暗闇に足をすくわれても
どうか怖がらないで。」


「これはわたしの古き盟友が暗がりの道を歩む命のために残した事物です。
暗澹の底へ落ちたならば、を追いなさい。」


「わたしは所詮、古き神性の残滓。
あなたに分け与える力はもう残されていませんが、
せめて、あなたを見守る伝令者ミスティヘラルドとなりましょう。」



いいえ

「莫迦。わたしは真面目に聞いたのです。」


「ですが、それも良いでしょう。
限りなき命の子よ、あなたはあなたらしく生きなさい。」