RECORD

Eno.1379 久瀬 あざみの記録

うさぎの寂しさについて

『うさぎは寂しいと死んでしまう』
なんて、誰でも一度や二度は聞いたことのある言葉。
今まで、うさぎは寂しいと死んでしまう『習性』なのだと思ってた。
だから仲間を求めるのだと。だから飼い主を求めるのだと。だから他者を求めるのだと。

けれどある時、出会った人が言っていた、こんな言葉がある。

「うさぎは寂しいと死んでしまうんじゃなくてさ。
 誰かと触れ合ったことで、寂しさを覚えるから死んでしまうんじゃないかな?」

私はこの少し違った物の見方に衝撃を受けた。
今まで、うさぎは寂しいと死んでしまう『習性』なのだと思ってた。

けれど――
あの人の言葉を聞いて、私は知った。
それは『習性』なんかじゃなくて、
『誰かと触れ合ってしまった記憶』だったのだと。

『記憶』
楽しさ、悔しさ、怒り、後悔、喜び、悲しみ、愛情、友情、嫉妬、恐怖――
挙げていたら切りのない記憶の数々は、他者との触れ合いでしか得られないもの。
それはとても甘くて、切なくて、麻薬や麻酔のような痺れをもたらすもの。

だから、何度も他者を求める。
何度も触れ合って、何度もトリップする。
そしてまた、
何度も「死にたい」という悪夢を見る。

うさぎが生き続けるには『記憶』なんて必要ないのかな?
『記憶』なんてまやかしだとでもうそぶいて、
『習性』という勝手に決めた思い込みを、事実だと認めるしかないのかな?

私にはもう、わからない。
今の私には、それが本当にわからない。

でもさ、私はこうも思うんだ。
今はただ、このわからなさを抱きしめて、生きていたい。
いつか答えを見つけるために。

なんてね