結局、私は最後までクラスの中で少し浮いていたように感じています。
私のことをどうしても好きになれない人がいたことも、肌で感じていました。
けれどそれでも、私はあの学校の、あのクラスに在籍できたことを嬉しく思います。
この北摩市に来てから、本当に色々なことがありました。
楽しいことも、辛いことも、すべてがこの先の人生を生きていく上での大きな糧になったと信じています。
いつか、ここで過ごした日々を懐かしく思う日が来るのかもしれません。
未来のことはわかりませんが、そんな日が訪れることを心から願っています。
私のことが嫌いだったなら、今すぐ忘れてくれて構いません。
でも、もしそうでないのなら「久瀬あざみ」という一人の人間が、
この北摩市にいたことを時々でいいから思い出してくれると嬉しいです。
それが私のたった一つの、ささやかな願いです。


前を向いて生きていく
ENO.1379
久瀬 あざみ
STATUS
PARAMETER
Lv.20MYS LV
5.6%MYS RATE
300MHP
100MSP
50ATK
50DEF
50ACC
50RES
0SPD
EQUIPMENT
-
私の手
剛力攻撃力:8 機巧攻撃力:8 異術攻撃力:8 売値:5CR
これからはパーツを組み立て何かを生み出していく。
固有:Eno.1379
"あなた専用の武器。" -
私の身体
防御力:5 売値:5CR
生きていくのが少しだけ難しい体質。だけど向き合っていく。
固有:Eno.1379
"あなた専用の防具。" -
私の心
防御力:15 売値:5CR
楽しさも悲しさも色々なモノを抱えて、それでも私は前を向いて生きていく。
固有:Eno.1379
"あなた専用の補助装備。"
SETTING CLASSES
Not Available...
PROFILE
一通の手紙が落ちている。
ICONS
CHAT LOG
前方に伸びる、どこまでもまっすぐな一本道。
その先には、私の帰る場所と、私の新しい未来が待っている。
北摩市で得た、この温かい光を胸に灯して。
私は、私の足でちゃんと立って、前を向いて生きていく。
ヘルメットの中で、私はそっと微笑んだ。
ありがとう、北摩市。
さようなら、臆病だった昨日の私。
――私の未来を、作りに行こう。
アクセルをもう少しだけ強く捻る。
私の小さなスクーターは、夏の終わりの青空の下、
未来へと続く道を、軽やかに走り抜けていった。
スクーターは順調に距離を稼いでいく。
いくつもの街を通り過ぎ、標識の地名が目まぐるしく変わっていく。
太陽がすっかり顔を出し、アスファルトの照り返しが眩しい。
ヘルメットの中は少し汗ばんできたけれど、頬を撫でる風は心地よかった。
北摩市を出て、もう何時間経っただろう。
だんだんと遠くに見える山の稜線に見覚えがあるような気がしてきた。
私の故郷を、いつも静かに見守ってくれている、あの優しい山々のシルエット。
ああ――帰ってきたんだ。
北摩市での日々は、裏世界というものに触れてきた日々は、
もしかしたら夢だったのかもしれない。
でも、夢じゃない。
その結果生まれた2本のデザインナイフが、
リアキャリアの上で確かに私と一緒に旅をしている。
私のこの繊細すぎる心は、臆病で人とあまり触れ合えなかった心は、
誰かの人生という物語に彩りを添えることも、役に立てることもなかったかもしれない。
けれど、この心があったから、誰かの優しさを、そのほんの欠片も取りこぼすことなく、
全部、全部、受け取ることができたように思える。
陽だまりのような温かさも、胸が張り裂けそうになる切なさも、
北摩という街に訪れた私の心を豊かに彩ってくれた。
それで十分だ。ううん、十分すぎるくらいだ。
正直に言うと、私には模型の知識なんてほとんどない。
プラモデルを組み立てた経験も数えるほどだし、塗料の種類だってよく分かっていない。
無謀な挑戦だということは、自分が一番よく分かっていた。
でも、あの店の空気が好きだった。
小さな埃が光に舞う静かな午後。田舎の店舗故に暇だったあの空間。
接着剤のシンナーみたいなツンとした匂い。
パーツにヤスリをかける静かな摩擦音。
黙々とプラモデルに向き合うお爺ちゃんの、あの縮こまった背中。
作業の休憩中にお爺ちゃんがよく飲んでいた、インスタントコーヒーの香ばしい香り。
そこは、私にとって世界で一番安心できる場所だった。
HSPの私が、唯一心を穏やかに保てる聖域。
だから、守りたいと思った。
ただ、それだけ。
知識も、経験も、何もないけれど、
この「好き」という気持ちだけは、誰にも負けない自信がある。
見慣れたコンビニの角を曲がり、駅へと続く坂道を下る。
一度寄ったことのある大きなパンを売っているお店。
懇親会に参加出来ず、結局一度も寄れなかった喫茶店。
学校へと続く通い慣れた通学路。
今まで何も感じていなかった風景の一つひとつが、
まるで映画のワンシーンみたいに目に焼き付いて、後ろへと流れていく。
もう見ることもないかもしれない、そんなこの街での日常の景色。
市街地を抜けると、景色は少しずつその姿を変えていった。
いくつもの丘を越え、大きな川にかかる橋を渡る。
川面が朝の光を浴びて銀色にきらきらと輝いていた。
この川を越えたら、もうあの街の空気とはお別れだ。
都会の密集した建物がまばらになり、空がどんどん広くなっていく。
道の両脇には緑が増え、風の匂いが変わったことに気が付く。
アスファルトと排気ガスの匂いから、草木と土が混じった、もっと懐かしい匂いへ。
私は地元に帰る。お爺ちゃんの、あの古くて小さい田舎の模型屋さんを継ぐために。
それでも、私には友達ができた。たった3人。
でも、私にとっては、世界で一番大切な、3人。
いつも賑やかで楽しくて、私とは正反対のコミュ強で、引っ張って行ってくれたあの人。
周りのことをいつも気にかけていて、優しくて、気遣いの出来る大人っぽいあの人。
部活でも一緒で、いつも正論しか言わない目が綺麗なあの子。
みんなの顔を思い出すと、胸の奥がきゅうっと甘く痛む。
まるで熟れすぎた果実をそっと指で押した時みたいに。
そう友達のことを考えながら、静かにマンションの駐輪場にやって来る。
停めてある私のスクーターは主の帰りを待っていたかのように静かに佇んでいた。
このスクーターに乗って、休み休み半日かけて地元へと帰るつもりだ。
夏休み最終日に相応しい大冒険になるかもしれない。
「……行こうか」
誰に言うでもなく呟いて、ヘルメットを被る。
カチリ、と顎紐を締める音が、旅立ちの合図に聞こえた。
キーを回すと、控えめなエンジン音が静寂を破った。
ぶるり、と車体が震える。その振動が私の心臓の鼓動と重なって、
不安と期待がないまぜになった不思議な気持ちが身体中を駆け巡った。
ゆっくりとアクセルを捻り、マンションを後にする。
RECORDS
うさぎの寂しさについて - 2025-05-24 20:04:17
久瀬あざみについて - 2025-06-01 22:14:54
①ー① - 2025-06-27 03:31:22
①ー② - 2025-07-02 00:19:56
7月5日の噂について - 2025-07-05 00:46:26
①ー③ - 2025-07-10 15:46:21
①ー④ - 2025-07-10 15:56:15
①ー⑤ - 2025-07-10 16:22:23
『記憶』について - 2025-07-10 17:10:22
②ー0.5 - 2025-07-20 07:31:23
②ー① - 2025-08-05 01:39:01
②ー② - 2025-08-08 03:30:46
②ー③ー④ - 2025-08-17 03:42:04
②ー⑤ー⑥ - 2025-08-19 01:46:38
②ー⑦ - 2025-08-29 03:41:58
前を向いて生きていく - 2025-08-31 03:09:30
PLAYER MEMO
仲良くしてくださった方々、遊んでくださった方々、ありがとうございました。
この場を借りて感謝します。



















