RECORD

Eno.1379 久瀬 あざみの記録

①ー④


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あざみ [Eno.1379] 2025-07-07 00:05:00 No.3297735

少女は私の挑発言葉に何の反応も示すことなく、
何かを求めるようにゆっくりとこちらに手を伸ばしてくる。
恐らくは私が腰に隠した神秘遺物を欲しているのだろう。だがそうはさせない。
意地悪をするように身を翻し、その伸ばしてきた手を遠ざける。
相手は幽霊なんだ、別に触れられても身体をすり抜けるだけで終わりそう。
しかし挑発を無視されたことにイラッときた私は、シースから普通のナイフを引き抜き、
少女の胴体目掛けて振りかぶる。無論、空を掠めるだけで当たりはしない。


「幽霊だもんね、物理的な干渉なんてそりゃ無理に決まってる」

「……なら、これはどうかな?」

少女の首元目掛けてナイフを突き立てようと腕を動かす。
するとどうだろうか、自身の首を守るように急いで手を置き一歩後ずさる
その暗い瞳がやっとこちらの顔を見据える。


「やっぱそうなんだ。そこがお前の弱点。精神的なウィークポイント」

指でナイフを回し、相手の目を見つめ煽るように言い捨てる。
言葉が通じていないのなら相手の精神に訴えかけるのみ。
なんせ目の前の少女は自殺を選んだ心の弱い人間だ。
死してもなお精神的な脆さがあるに決まってる。

狙うならそこしかない。


「はい。じゃあ、次はこれね」

言うが早いか私は素早くナイフを首元目掛けて投擲。
瞬間、キン、という鈍い金属音と共にそれは弾かれる。
少女は圧倒的な反応速度スピードで地面に突き刺さった刀を引き抜き、私の攻撃を弾いていた。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-07 00:38:41 No.3301292

後退して距離を取る。
少女は刀を構え、殺意を含んだ暗い瞳でギロリとこちらを睥睨している。


「あはは、やっと挑発に乗ってこっちのことを見てくれた。今から殺すからね」

二撃目、戦闘服パーカーの内側に仕込んだシースから抜き取る勢いを加算した上手投げオーバーハンドスロー
少女は咄嗟に刀を振り上げ、それをも楽々と弾き返す。
二人私と少女の間で金属音が響き、周囲に木霊する。

どこかの場所を冒険してきただけあって、自身を弱いと嘆いていたわりには、
それなりの強さを秘めているように感じられる。
じっとこちらを見据えたその堂々とした佇まいからは、彼我の差を感じざるを得ない。
不意打ちバックスタブで雑魚ばかり狩ってきた私とは踏んで来た場数の違いを感じさせる。

だが、こちらには神秘遺物がある。その効果は身体能力の強化。刃物全般の扱い方。
そして最大の効果は不死性の付与。

いくら物理的にこの空間に存在する刀であっても、私を殺すことなど不可能。
このままジワリジワリと少女を精神的に追い詰めて追い詰めて、
一方的なワンサイドゲームだって可能なはず。


「もっと本気出してきなよ。
 そんなんじゃ大切なもの取り返せないよ?」

赤く煌めいた目を細めてマスクの下でニタニタと笑う。
そんな私の挑発が余程効いたのか、少女は聞き取れないほど小さく何かを囁いた詠唱開始
その刀身に淡い光が灯る。刀に魔力の層が形成されていくのが左眼を通して視える。
夢で何度も見せられた少女の戦い方。それが今、目の前に迫っていた。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-07 02:11:19 No.3307441

薄緑とした淡い魔力光を帯びた刀身が月夜に照らされる。
ゆっくりと、しかし確実に、少女の刀がその頭上へと持ち上げられていく。
その動きは一切の淀みがなく、まるで元からその場所に刀があったかのような錯覚を覚える。

八相の構え。

その古式ゆかしい構えは、ただ刀を構えているのではなく、
少女自身が巨大な刃と化したかのような威圧感を放っていた。
その瞳は得物を狙う猛禽類かのように、しっかりとこちらの存在を捉えている。

冷や汗が流れる。だが後退した私との距離はおよそ数メートル。
斬撃は届くはずはない――そう思ってしまった一瞬の油断。
刹那、地面を踏みしめ、まるで弾丸が放たれたように一気に距離を詰められる。

八相の構えから刀を振りかぶり、私の左肩を目掛けて斜めに振り下ろされる。
瞬間的な袈裟斬り。刃が空気を切り裂く音が聞こえた瞬間、咄嗟に身をよじる。


「……痛ッ

なんとか直撃は避けられた。だが鎖骨の下辺りを刃が掠め、血が吹き出す。
叫びだしそうなほどの激痛が襲う。額から一気に汗が滲み出る。
同時に私の左腕は力なく垂れ下がった。
少女の斬撃は、私の腕神経叢わんしんけいそうを斬り伏せた。

腕神経叢。
頸椎から出て、鎖骨の下を通り、肩から腕にかけて広がる大きな神経の束。
橈骨神経、正中神経、尺骨神経など腕や手の全ての主要な神経はここから分岐している。
簡潔に言えば、一太刀で左腕の機能を封じられた

私が避けられることを想定した相手の弱体化を狙った一太刀だったのか、
それとも一太刀で命を奪うつもりだったのか……わからない。
だが悠長に思考に耽る暇はない。

奥歯を噛み締め、今にも叫びだしそうな激痛を堪えながら、私は森の奥へと走り出した。
今は隠れて傷の回復を狙う。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-07 03:24:46 No.3310570

痛みを堪え森の奥へと突っ走る。左腕は力なく垂れ下がり風を切っている。
斬られたせいか、自然と息が上がる。傷口からは血が滲み衣服を染める。
神秘遺物によって強化された身体能力で走った勢いのまま木の上に駆け上がり、
どうにか心拍を落ち着け、己の気配を殺す。

目を凝らして遠目を見やる。少女はゆっくりと森へと足を踏み入れてきている。
少しの間でもいい。逃げ切れば不死性によって傷は回復していく。

まさかここまで常人離れした動きをするとは思ってもいなかった。
正直、舐めていた。
他者と自分を比べすぎて最後には自刃を選ぶような心根の弱い人間だから、
その能力すらも弱いと思い込んでいた。
それなりの強さしかないただの少女だったのだと思い上がっていた。
だが、先ほど相対したときに感じた彼我の差は、やはり間違いなどではない。

その証拠に、物理的な距離を感じさせない踏み込みからの袈裟斬りにより、
私の左腕は使い物にならなくなっている。現に今も、ピクリとも動かせない・・・・・


待てよ……どこかおかしい

潜伏中なのに、思わず口に出してしまう。
私の不死性は攻撃された痛みは伴う。だが傷を受けた瞬間から再生は始まっているはず。
なのに、逃げてきて木の上に隠れる僅かばかりの時間であったとしても、
多少は損傷した神経と刀傷の再生は始まっているはず。


嘘だろ……おい……

鎖骨の下辺りに出来た傷口にゆっくりと指を当てる。
血は止まっておらず流れ続け、胸元を赤く染め上げ、
パックリと切り裂かれたままの皮膚は一切塞がっていなかった。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-07 10:27:58 No.3330252

葉の隙間から様子を伺う。夜間に固定されたこのフィールド。
それも月光の届かない森の中であれば、少女の魔力光は遠目からでも簡単に視認出来る。
私のことを、いや、私の持つ神秘遺物か。それを探しているかのように、
ゆっくりと森の中を進んでいる。まだこちらの潜伏場所は気づかれていないようだ。

左眼の残光から、森の奥まった場所、
木の枝の上に小さく身を屈めて潜んでいるこちらの居場所を悟られないように、
固く瞳を閉じる。パックリと開いてしまっている傷口から指を離し、
しばし考察を始める。本当なら戦慄いていてもおかしくない状況。
だがこんなときこそ冷静であらねば、勝機を逃すのみ。

私の不死性が機能していない。こんなことは初めてだ。
スターライトデッキの真上から飛び降りても、怪奇の攻撃で体力が尽きても、
決して死ねない私が、数年ぶりに、死の足音を聞いている。

恐らくだが、あの夢の通りならば、短剣神秘遺物に魔力を吹き込み、
そこに魂を生み出したのはあの少女だ。
そして私の不死性もその短剣神秘遺物をパワーソースとしている。

考えられるのは、元々は同じ魔力を有しているからこその破壊的干渉
光の破壊的干渉では波長と振幅が同じで、位相が逆の二つの波が重なり合うことで、
互いを打ち消し合いを生み出す……それと原理は同じかもしれない。

私の不死性が常に同じ位相で生命力を維持している波だとして、
少女の攻撃は同じ波長と振幅、つまりは同じパワーソースから来る同質のエネルギーを持つが、
その位相が完全に逆向きの波として私に作用してしまい、
一時的に不死性がに帰してしまったのだろう。だから傷口と神経が回復していかない。

少女の持つ刀に帯びた魔力も、私が持つ神秘遺物から得られている不死性も、
元は同じ魔力だからこそ、彼女の攻撃は唯一私の不死性を破ることが可能なのだ。
最も強力な守りが、最も強力な弱点となった瞬間だった

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-07 10:51:25 No.3331759

正直に言って、勝てる気がしない。
不意打ち気味のスローイングも弾かれ、破壊的干渉によって私の不死性をも破られた。
こうなったらお手上げである。このまま木の下に降りても死ぬ未来しかない。

そう、正攻法なら、そうであろう。

私は邪道だ。正道を歩もうなんて端から思っていない。
正々堂々とした戦い方なんて、出来ない類の人間だ。

ならば取るべき方法は一つ。

私には切り札がある。少女を殺すための切り札がある。
少女のプライドを傷つけ、侮蔑し、凌辱し、徹底的にその魂を殺す方法がある。
それは危険を伴う。それは痛みを伴う。それは私の精神に異常を来す可能性もある。

けれど、やるしかない。この局面を打開するためには、実行に移すしか道はない。

まずはあのテントまで行かねばならない。
このフィールドに置いて刀と同じ物理的に存在するあれがまず必要だ。
少女の目を掻い潜り、そこに行くために、私は行動を開始する。
息を大きく吸う。
痛み続ける刀傷をグッと堪え、神経を断裂され動かぬ左腕を労るようにそっと右手で触れる。


「反撃開始だ」

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-08 00:03:55 No.3384003

テントの場所は把握している。最短距離では少女と鉢合わせる。
なので森の中を大回りで駆け抜けて、そのまま開けた場所、野営地の辺りに出ればいい。

急いでテントまで向かうため、しゃがみ込む枝の上で体勢を整える。
片膝立ちになり、幹に片足の裏を立てかけ、感触を確かめるように数度かかとで踏みしめる。
足首を折らないように、踏ん張るつま先に感覚を集中させる。
不安定な足場、腰を上げ、まるで蜘蛛のような前傾姿勢。
片手だけで体重を支えるのは少々きついが、やるしかない。

スーッと息を吸う。オンユアマークスという声が脳内に響く。
本来ならセットで腰を上げるものだが、生憎と私は運動が得意ではない。
ただ勢いが付けばいい。格好悪い我流のフォームで、静かにスタートを待つ。


「……どんっ!」

飛び出すように勢いよくクラウチングスタート。
前方に数メートルは飛び、転がるように地面に着地し、
勢いのまま立ち上がり森の中を駆け抜ける。
樹冠の揺れる音。地面に着地し砂利を踏み擦る音。草木にぶつかる音。
あらゆる動作音が森の中に響くも無視する。それらの音で少女がこちらに気づいた気配。

だが一瞥をくれてやることもせず、出来るだけ接敵を避けるために、
ジグザグの移動を意識しながら森の中を駆け抜ける。
途中何度も細い木の枝が身体に刺さるも気にしてはいられない。

今はただ、テントを目指すのみ。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-08 01:01:24 No.3387536

息を切らして森の中を駆け抜ける。だいぶ少女とは距離が離れた。
このまま森を抜ければいい。そう思った。
しかし、後方から空気を切る風の音が響いた。
烈風が背中を掠め、バランスを崩しそうになる。
その瞬間、ゴゴゴという轟音と共に何本もの木が倒壊する。

足を止めぬまま思わず振り返り、見てしまう。
強引に分け開いた森の遥か向こうで、少女が刀を構えているのが微かに視界に入る。
上段の構えから一気に刀を振りかぶった。
瞬間、刀身にまとった薄緑とした淡い魔力光が衝撃波となりこちら目掛けて飛んでくる。

まずいまずいまずい!アレに当たったら間違いなく死ぬ!

咄嗟に飛び込むように地面にスライディング。
鎖骨の下に深々と開いた傷口が地面に強く擦れ小さな悲鳴を漏らす。
鋭く風を切る音に続いて、またも木々が倒壊していく轟音が森に響く。


「ズルい!ゾルダの伝説のマスターブレードじゃんこんなの!」

思わず口からオタク的な感想が出てしまう。
剣から放たれる衝撃波のビームなんてこれしか浮かんでこなかった。
己の貧弱な語彙力を呪う前に、一刻も早く森を抜けなければ。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-08 01:32:41 No.3388748

どうにか立ち上がり森を抜けようと再び走り出す。
強引に森を切り開いた少女がいつまた弾丸のようにこちらにカッ飛んでくるかわからない。
だが計算通りならもうじき森を抜けられるはず。今はただ足を止めず進むのみ。

途中、何度か少女の撃ち放つマスターブレードのような魔力の剣波を交わしながら突き進む。
視界の前方、徐々に月光に照らされ明るくなった地面が見えてくる。

あと少しで森を抜けられる。そう確信した瞬間、背後から風切り音。
衝撃波のそれとは違う、もっと重く、質量のある残響。チャキ、という静かな金属音。

少女に背後を取られたのは理解出来る。だが振り返らずに進むしかない。
進んだ先に待つのは、こちらからの反撃の一手なのだから!
それを信じることしか今は出来ない!

薄暗い森を抜ける。視界が明るく開ける。テントの位置を確認。目視。
背後からの気配。斬撃の気配。魔力を込める詠唱が微かに耳に届く。
死にたくない!勝ちたい!この少女を殺すために!

私は走る勢いに任せ眼前に迫ったテントに飛び込んだ。
そして右手に掴む。黒いバッグ。歴然とした彼我の差を覆すための第一歩を。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-08 02:02:10 No.3390222

右手に掴んだ勝ち筋イニシアチブ。それを胸に抱え素早くテントから出てくる。
そして背後に迫っている少女に向き直り、黒いバッグを見せつけるように言葉を続ける。


動くな!こいつがどうなってもいいのか!

これではまるで人質だ。
だが効果はあったようで、少女は動きをピタリと止めてこちらを睥睨している。
やはり、少女にとってはそれほど大事なものなのだろう。


刀を置け!さもないと壊すぞ!この手入れ道具!

左手を使えればバッグから中身を取り出し、さらに動揺を誘うことも出来ただろう。
だがこればかりは仕方がない。私は視線を少女から外さぬまま静かに立ち上がり、
ジリジリと後ずさり、相手との距離を開ける。
ゆっくりと息を整え、こちらが優勢であると知らしめるように挑発気味に少女を睨み続ける。
左眼の魔眼の赤い輝きが静かに相手を捉える。今は相手の出方を伺うのみ。

少女は一歩も動かない。
だが構えは解かないまま、月光が照らす鋭い切っ先をこちらに向け続けている。

こちらもそれに応えるように、負けじと少女を瞳に捉え続ける。
しかしこのまま睨み合いを続けているわけにはいかない。
次の一手は、これしかない。


そんなに欲しけりゃ返してやるよッ!

黒いバッグを放り投げ、勢いよく明後日の方向に蹴り上げた。
少女の視線がそれを追う。待っていた、その油断を。

私は素早くシースからナイフを抜き取り、少女の首元目掛けて投げつけた。

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-08 02:13:01 No.3390684

月光を携えた鈍い輝きを放つナイフが少女の首元目掛けて飛んでいく。
もちろん亡霊相手に物理的なナイフは当たりはしない。
だが少女は咄嗟に刀から手を離し、自身の首元を守るようにギュッと両手を固めた。
刀が地面に落ちる金属音が響く。この瞬間を待っていたんだ!
少女の元までダッシュで駆け抜け、その刀を拾い上げる。


「はぁ、やっと取れた。お前のプライドなんだろ?これ」

「お前を殺してやるのにさぁ、必要だと思ってたんだよ」

「お化けのお前に物理攻撃は効かない。じゃあどうするかって?」

「こうするんだよッ!」

私は大きく息を吸う。そして――

私の夢には自殺した女の子が出てくるッ!!!

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あざみ [Eno.1379] 2025-07-08 02:41:36 No.3392021

目の前の少女はカタカタと小さく震えながらその存在感を静かに薄れさせていく。
代わりに私の中に何かが入ってくるような奇妙な感覚。
焦燥感が湧き上がる。誰かに対しての謝罪の言葉や悲しみを口に出してしまいたくなる。
私の中の弱さ、脆い部分、普段は押し留めているそれらが全て決壊して、
勢いよく表に出てしまいそうになる感覚。
希死念慮に押し潰されて涙が出そうになるのを必死で堪えながら、
崩折れそうな自分の脚に、私は思い切り刀を突き立てた。


「私死ねないからさあ!お前の魂が粉微塵に砕けるまで!
 何度でも何度でもお前のプライドで死に続けてやるよ!」

「あんな親がくれたゴミみたいな短剣で死ぬことを選んだのも、
 自分の誇りを汚したくないからなんだろ?」

そんなもん私にはどうでもいいわ

お前が何年も見せてきたクソほどどうでもいい
 つまらない『最期の記憶』なんざ壊してやる!


お前のプライドを侮辱し続けてやる!

お前の魂が砕け散るまでッ!!!!!

   や
      め
        て      痛い
   痛い
                  やめて……


うるせえ!私の心の中で騒ぐな!
 死ねってんだよ!


私は脚から引き抜いた刀で、自分の胸を貫いた。
強烈な痛みで悲鳴を上げそうになる。だが、それを上げるわけにはいかない。
私の方が上なんだと、この魂に刻みつけるために。
次第に意識が薄れきて私は息絶えた。

少女の魂を砕くための一回目の死。まだこれは始まりにすぎなかった。

その場で蘇り、自分の意識が回復してからも同じことを続ける。
続ける。続ける。やり続ける。死に続ける。殺し続ける。
私は自分の肉体を使って、少女の亡霊を殺し続けた。

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次回に続く。