「あぁぁあああぁぁぁぁぁぁ」
七回目の死を迎えようとしたとき、ついに私は痛みに耐えきれず叫んでしまった。
続く痛みとストレスで過剰に分泌されているであろうエンドルフィンや、
ドーパミンなどの脳内麻薬で狂騒してしまい、
もう自分の身体のどこを突き刺して斬りつけたのか曖昧になってきていた。
深々と刀の突き刺さる箇所は右胸の下辺り。
位置的には肝臓。訪れるのは痛みに対しての死のコスパが悪い失血死。
身体からドクドクと流れ続ける赤黒いものが、前回の死で汚れた地面を更に染めあげる。
いつか背中から肝臓を刺して殺した怪奇のことを思い出し、
相手もこの痛みを感じていたのだと、今更ながらに自覚した。
恐らくこの痛みは、何かしらの罰なのだろう。
自罰を受け続けるのも、何かしらの罪に対しての贖いなのだろう。
自分が『記憶』というものを大切にしておきながら、
他者の『記憶』というものを否定して壊そうとしている。
この矛盾に対しての何かしらの罰も、きっと訪れるのだろうな。
……あぁ、やっと眠くなってきた。本当にこの部位は死ぬまでのコスパが悪いや。
まだ少女の魂は私の中に残っている。だからまだ、続けなくちゃ……
…………
………
……
…
何十回、何百回、下手したら何千回。
もう数なんて数えていないけど、いったい私は何回死んだんだろう。
途中で耐えきれなくなり何度も何度も発狂しては、
自分の中の大切な『記憶』や私が自由に話せる人たちの顔を思い出しては正気に戻るのを
もう何度も何度も繰り返した記憶は、薄っすらと残っている。
確か土曜日の朝からここに来て、どれ程の時間が経ったのだろう。
私の血がこびりついたスマートデバイスの画面を指で拭って、
誰かにSURFを送った。文面は思い出せない。
ただ、月曜日の部活には行けそうもないことを伝えたと思う。
画面には私なんかのことを心配してくれている文字が表示されている。
それを見たらなんだか涙が溢れてきて、早く帰りたい気持ちと、
こんなことをし続けている私には、とても眩しすぎる世界に思えてきてしまって、
帰っても、人に合わせる顔がないような気持ちにもなってしまう。
SURFの画面を凝視し続ける左眼の奥が痛い。
ズキズキとした痛みと共に、涙とは別種のものが溢れ続けているのを感じる。
そして全身が熱を持ち痛み続けていても、少女の魂の悲鳴が私の心の中でこだましている。
まだ終わりそうにない。
私はもう何度目かもわからない痛みを伴う行為を行って、強制的に眠りに落ちた。
スマートデバイスの画面が明滅していることに気づき、ふと正気に戻れた。
画面を確認しようと動かない左腕を掴み上げようとするも血でぬるりと滑り、
上手く画面を見ることができない。
地面に伏せて腹ばいになり、左腕を固定。強引にその内容を確認する。
現在時刻は8日の朝らしい。
昨日、部活に行けなかったのがかなり悔しい。
きっとお祭りなら新作のかき氷だってあったはず。
他にもお祭りなら美味しい屋台もたくさんあったはず。
それらを食べてみたかった。
そういえば土曜日から何も食べていない。
もしかしたら不死性というのは飲まず食わずでも平気なのだろうか。
「つまんないな……そんなの」
食事を楽しむ必要もないなんて本当につまらない。
フライドポテト食べたいなと思いながら自身の腹に刀を突き刺し強引に意識を落とした。



