RECORD

Eno.139 浮季草 斂華の記録

楽しくなれれば、嫌な気持ちは消えて失せる。

 
 更衣室で、周囲をなるべく見ない様にして、タオルに包まれて着替える。
 もう見慣れたとはいえ、こういう空間に自分がいるという事自体、違和感があるし、いたたまれない気持ちになる。
 それに、身体は変だし、今は胸の傷もあるから、肌を見せるのも嫌だ。
 だから、足早に、さっさと指定のラッシュガードへ着替えて、プールサイドに出る。

 それが、去年までの水泳の授業で思っていたこと。今年も、似たようなものだろうな、と思っていた。



 最初は、北摩には無い海ができたというから、楽しみだった。
 海で泳ぐ機会は少ないから、シュノーケリングの練習になれば良いな、と思った。
 それが、ゲートをくぐってみれば、見たことのない……否、テレビでちょっと憧れた風景が広がっていた。
 着替える時には、裸になるという暗い気持ちはあったけれど、それ以上に早く遊びたいと思う、ワクワクとした気持ちで足早に着替えた。
 早い所遊びたいから、準備運動とシャワーは先に済ませておいて、プールサイドに出る。

 プールでこんな気持ちになるのは初めてだった。楽しさの前では、恥ずかしさなんて消えて失せるのだ。自分も、他の誰かも、気にしている暇はない。

 しょっぱさと、海水の比重で泳ぎの質を比べて、名栗くんと競争をして勝って、御田さんと連続でスライダーを滑って、確井くんを水遊びに巻き込んだ。
 ただ、友達と遊ぶことがこんなにも楽しい。そこには変な考えも、事情も、何にもない。
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斂華(れんげ) [Eno.139] 2025-05-23 22:08:41 No.337658

>>337513
>>337587
「水が多っ…呼吸できっ……げほげっ……あははは!」

 タイミングがかち合って、大量の水が降りかかる。
 ちょっと喉に水が入ってしまうけれど、楽しい。とても、とても。

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 黒井さんとちょっと話しながらご飯を買って、皆がナイトプールで流れているのを、気持ち良い疲労感に浸りながら眺めて、自分も流れて、落ちて、笑って、流れて。
 不来方さんと写真を撮って、皆とお土産を買って、また写真を撮って。

 楽しいって、麻酔だ。
 プールから上がって出る頃には、すっかり疲れて、何にも気にならなくなっていた。
 また、麻酔が覚める頃には、色々と気にし始めるんだろう。授業や何かでは、また嫌な気持ちにはなるんだろう。
 でも、麻酔の効かせ方が分かったから。効かせても良いって、思えたから。
 今、凄く気が楽になった。