RECORD

Eno.32 不藤識の記録

record. 『月下にて、待ち人を想う』

 改めて宣言したことで、君は神秘の追求に完全に傾いた。もう、俺の方は殆ど見てくれもしなさそうかなぁ……残念。
 まぁそれでもいいんだけど。元よりこれは望んだ道で。アイツには「悩むな」とも言われたし。
 恋人になって欲しい、って要望を一度出したけど……多分、それらしき振る舞いをしたのはたった一日だけで。
 それでも。俺にとっては、その一日が酷く輝いて見えた。
 もう二度と来ない日々かもしれないけれど。それだけで、十分だ。







 でも、この決意は絶対に譲ってやらない。
 顔のない世界なんて絶対に認めてやらない。
 俺は、神秘おれを最大限に活かして、不藤識おれのやりたいことをやるために君を利用する。
 君が神秘おれを暴き、生かすと約束するのなら。





 これは、証明だ。
 君は、一人の人間として。
 他人への興味を取り戻せるんだって。
 いつかの未来、そうなるためための楔を。













 ――絶対に、手離すもんか。