RECORD

Eno.382 フルルーナ・ワイズマンの記録

『嘘』


「あの日見た空 星が瞬く空を」

「ねえ あなたは覚えていますか?」



今から4年前の冬、見つけた空はいつになく綺麗で、いつになく赤かった。

月が見えた。
赤くて、青くて、黄色い月。
どの色だったかな?もうどうでもいいか。


―――月が好きだ。
ママを思い出すから。
ママは捕まっちゃって今いないけど、10年したら帰ってくるらしい。
あの日から月を見た、毎日見た、そこにママがいる気がして。

パパは私に優しかった、私のワガママを全部叶えてくれた。
あれが欲しい、これが欲しい、なんて言わなかったけど。
でも望遠鏡を欲しがった時は、買ってくれなかったっけ。

パパはいつも忙しそうで、それでも私に日本語を教えてくれた。
ママがいなくなってから日本に行くその日まで
ママがいなくなった分の愛情を注いでくれた。


でも足りなかった。違う、足りなくなった。

日本に来たあの日から、祖国を離れたあの日から。
月は、ママじゃなくなった。



「月は、あーしだ」