RECORD

Eno.43 神林 雨の記録

雨の独白

私は人を信じなさすぎている。
私は人を恐れ過ぎている。
私は人の底を見たがり過ぎる。
私は人の内面を知りた過ぎる。

それら全ては恐れから来ていることを知っている。

私は極端に人の情を読むのが苦手だ。
同時に、自分の情を表出させるのも苦手だ。

経験が少なく、他者への共感能力が無いから。
自分自身が自ら何かを齎せる自信が無いから。
私にできることが思いつかな過ぎるから。

私は、私自身が他者を求めないから。

それなのに、私自身は他者に求められたいという欲求があった。
一方的に、与え続ける方がいいと思っていた。


私の幸いが見えないのは、私が求めなさ過ぎるから。
探しても見つからないのは、何時だって私がそれを必要としないから。

結局は。

喜ばれるからやっているのだ。
他人に何か言われるのが怖いからやっているのだ。
他人が笑顔であるのが嬉しいからやっているのだ。
他人の表情が曇るのが恐ろしいからやっているのだ。

他人を知らなければ笑顔にしてやれないから。
手を伸ばせない位置でも知ろうとしてしまっていた。


この在り方は歪なこと、理解している。
心身が壊れ過ぎて漸く、この在り方がおかしいのだと気付いた。

私自身が求められた時に、私自身の価値を差し出せないのだと。
気づいてしまった。


からっぽは、私だった。
言いなりは、私だった。
透けているのは、私だった。
慰められないのは、私だった。

私が、私を見ているだけだった。

彼が見えていなかった。
彼に意図せず刃が突き立った。
彼の悲鳴を聞いてしまった。
彼は彼なりに、努力を重ねているはずなのに。

私は、私の恐ろしさのあまりにうめの心を裂いてしまった。










やめようと思った。
この薄暗い、臆病な殻に閉じ籠もるのを。