RECORD
Eno.79 鶴木 桃菜の記録
地獄の悪魔
教会で説教師をやっていた祖父から、何度も聞かされた話がある。
曰く、誰の背中にも見えない悪魔が取り憑いている。
取り憑いた人間が悪事を犯す時を、悪魔は辛抱強く待っている。
その時が来れば、たちまち地獄の底へ連れ去ってしまう。
所詮は子供を躾ける為の脅し文句だ。
そう思いつつも私は話を聞くたび、聞き分けの良い子供を演じてみせた。
説教自体は全く信じなくとも、私の身を案じる愛情のみは心に留めた。
信心深い祖父の考えを無暗に否定せず、保留することができる。
そんな気遣いのできる自分を、内心誇らしくすら思っていたものだ。
……思っていた。そう、過去形だ。所詮は子供の浅知恵でしかなかった。
地獄も、悪魔も、存在するのだ。それも、私の住む世界のすぐ隣に。
その真実を突き付けられた時、私はあまりにも無力で、
冷たくなっていく愛犬を抱え、ただ泣くことしかできずにいた。
曰く、誰の背中にも見えない悪魔が取り憑いている。
取り憑いた人間が悪事を犯す時を、悪魔は辛抱強く待っている。
その時が来れば、たちまち地獄の底へ連れ去ってしまう。
所詮は子供を躾ける為の脅し文句だ。
そう思いつつも私は話を聞くたび、聞き分けの良い子供を演じてみせた。
説教自体は全く信じなくとも、私の身を案じる愛情のみは心に留めた。
信心深い祖父の考えを無暗に否定せず、保留することができる。
そんな気遣いのできる自分を、内心誇らしくすら思っていたものだ。
……思っていた。そう、過去形だ。所詮は子供の浅知恵でしかなかった。
地獄も、悪魔も、存在するのだ。それも、私の住む世界のすぐ隣に。
その真実を突き付けられた時、私はあまりにも無力で、
冷たくなっていく愛犬を抱え、ただ泣くことしかできずにいた。