RECORD
Eno.321 千夕貫 禾の記録
蜜も過ぎれば毒になる。
過剰な愛に過度な保護は、
心を腐らせるには十分だった。
母親は少々ヒステリックの気があり、
思う通りにならないと癇癪を起こす。
父親は良くも悪くも放任主義で、
でも、家業は継いで欲しいらしかった。
元々反りの合わない二人だったんだろうな。
幼い頃は些細な諍いが絶えなかった。
あれは何の話してたんだろう。進路とかか?
夕飯の最中、に、皿の割れる音が響いて、
咄嗟に身を竦ませたのは、よく覚えてる。
フローリングに、ばらばらになった器。
子供ってそんなに馬鹿じゃない。
家族をやろうとするんだ。
喧嘩はやめて欲しい、って。
必死に叫んだな。油に火、注いだようだけど。
瞳で交互に、二つの顔色を覗き込んでた。
確か、その時に酷い目眩がした。
目玉が360度回転するような。
脳味噌を掻き混ぜられるような。
それは多分、絵の具だった。
今では両親の事もよく分かる。
万事、若気の至りだった訳だ。
沢山の愛情を受けて現在まで生きている。
きっと、それこそが、千夕貫 禾の不幸福。
不幸福
蜜も過ぎれば毒になる。
過剰な愛に過度な保護は、
心を腐らせるには十分だった。
母親は少々ヒステリックの気があり、
思う通りにならないと癇癪を起こす。
父親は良くも悪くも放任主義で、
でも、家業は継いで欲しいらしかった。
元々反りの合わない二人だったんだろうな。
幼い頃は些細な諍いが絶えなかった。
あれは何の話してたんだろう。進路とかか?
夕飯の最中、に、皿の割れる音が響いて、
咄嗟に身を竦ませたのは、よく覚えてる。
フローリングに、ばらばらになった器。
子供ってそんなに馬鹿じゃない。
家族をやろうとするんだ。
喧嘩はやめて欲しい、って。
必死に叫んだな。油に火、注いだようだけど。
瞳で交互に、二つの顔色を覗き込んでた。
確か、その時に酷い目眩がした。
目玉が360度回転するような。
脳味噌を掻き混ぜられるような。
それは多分、絵の具だった。
今では両親の事もよく分かる。
万事、若気の至りだった訳だ。
沢山の愛情を受けて現在まで生きている。
きっと、それこそが、千夕貫 禾の不幸福。