RECORD
Eno.763 天堂アヤメの記録
この地に辿り着いて、約一ヶ月。
高校に通い始めて、約三週間。
この地に辿り着いて、約一ヶ月。
本当に様々な事があった。
まさか私がもう一度学校に通う事になるとは思いもしなかったが、いざやってみるとすんなり通えてしまっている。
臆病な状態でも生活が可能なのはそれほど表世界が安全だと言う証拠だが、周りの人間が優しいと言うのも大きい。
それに甘えてしまっている私がいるのは、あまり好ましい事では無いが。
多くの友人も、特別な友人も出来た。ゲーセンに行ったり、初めてカジノで遊んだりもした。
地域コミュニティなんかにも参加したし、クラスメイトとの懇親会は、楽しかった。
気にかけてくれる優しいクラスメイトと共に人々の喧騒を眺めた時も、なんだか安らぎを感じた。
今の生活は、正直に言うと楽しいものだ。
このままこの世界で生活するのも悪くないと思えてしまう。
しかし、忘れてはならない。私には使命がある。
この手で王を殺す──そう強く誓い、多くの犠牲を強いて来た。
今更平和を望むなどと、身勝手にも程がある話。
元の世界へ早急に戻り、使命を果たさねばならない。
私は復讐鬼だ。
今更、何になろうと言うのだ。
……少し、昔の話をしようと思う。
私の世界では王が世界を動かしていた。
どの政治家よりも、どの富豪よりも、誰よりも偉い存在として。
政に、世論に、多くの事柄に、常に王の存在が居た。
何も知らなかった私は、善良な王を信じていた。
その子息である王子を想像し、素敵な出会いとするんだと、愚かながらにも妄想していた。
あの醜悪な眼で見定められるまで、私は夢見る女の子でしかなかった。
私が中学の頃に、大々的なパレードがあった。
そこには王子が初めて人前に出るということで、大勢の人間が集まった。
私もその一人で、まだ見ぬ王子の姿を想像しながら待ったものだ。
やがてやってきた王子は、確かに美しい外見をしていた。
黄色い声が上がり、拍手が起こる。私はただ愚かにも見惚れていた。
王子は言った。
『この群衆の中から一人選んで、連れて帰ろうと思う』
気紛れか、元々その気があったのか、どちらもか。
結果的に言えば、王子は群衆をかき分けて、私の手を取った。
姫と呼ばれ、心の中で舞い上がった。こんなことが本当にあるなんて、と。
そのままパレードの馬車に乗せられ、奴の居城へ帰り。
愚かにも幸福を信じていた私は、到着するや否や。
──────汚され、貶められ、襤褸切れのように扱われた。
……続きは、別の機会に。
この地に辿り着いて、約一ヶ月。
本当に様々な事があった。
まさか私がもう一度学校に通う事になるとは思いもしなかったが、いざやってみるとすんなり通えてしまっている。
臆病な状態でも生活が可能なのはそれほど表世界が安全だと言う証拠だが、周りの人間が優しいと言うのも大きい。
それに甘えてしまっている私がいるのは、あまり好ましい事では無いが。
多くの友人も、特別な友人も出来た。ゲーセンに行ったり、初めてカジノで遊んだりもした。
地域コミュニティなんかにも参加したし、クラスメイトとの懇親会は、楽しかった。
気にかけてくれる優しいクラスメイトと共に人々の喧騒を眺めた時も、なんだか安らぎを感じた。
今の生活は、正直に言うと楽しいものだ。
このままこの世界で生活するのも悪くないと思えてしまう。
しかし、忘れてはならない。私には使命がある。
この手で王を殺す──そう強く誓い、多くの犠牲を強いて来た。
今更平和を望むなどと、身勝手にも程がある話。
元の世界へ早急に戻り、使命を果たさねばならない。
私は復讐鬼だ。
今更、何になろうと言うのだ。
……少し、昔の話をしようと思う。
私の世界では王が世界を動かしていた。
どの政治家よりも、どの富豪よりも、誰よりも偉い存在として。
政に、世論に、多くの事柄に、常に王の存在が居た。
何も知らなかった私は、善良な王を信じていた。
その子息である王子を想像し、素敵な出会いとするんだと、愚かながらにも妄想していた。
あの醜悪な眼で見定められるまで、私は夢見る女の子でしかなかった。
私が中学の頃に、大々的なパレードがあった。
そこには王子が初めて人前に出るということで、大勢の人間が集まった。
私もその一人で、まだ見ぬ王子の姿を想像しながら待ったものだ。
やがてやってきた王子は、確かに美しい外見をしていた。
黄色い声が上がり、拍手が起こる。私はただ愚かにも見惚れていた。
王子は言った。
『この群衆の中から一人選んで、連れて帰ろうと思う』
気紛れか、元々その気があったのか、どちらもか。
結果的に言えば、王子は群衆をかき分けて、私の手を取った。
姫と呼ばれ、心の中で舞い上がった。こんなことが本当にあるなんて、と。
そのままパレードの馬車に乗せられ、奴の居城へ帰り。
愚かにも幸福を信じていた私は、到着するや否や。
──────汚され、貶められ、襤褸切れのように扱われた。
……続きは、別の機会に。