RECORD
Eno.32 不藤識の記録
record. 『影絵』
俺は不知火京介のことを殆ど知らない。
物心ついた頃には不藤識であったから、京介だった頃の記憶を持ち合わせていない。
だからこそ、今彼が何を思っているのかもわからない。
神秘の力を具現化した時、何故短刀になるのかもしらない。
何故柘榴石が埋め込まれているのかもわからない。
唯一わかっているのは、俺と君、どちらかしかこの器には入れないということだ。
――――――――――――
四門さんが言うには、神秘の形が短刀だけとは限らないということ。その在り方は本人達の望み如何では変わりうる、と。
納得しつつ、その話をよすがにも振ってみた。すると返ってきたのは、その考えに対する賛同と、短刀が命を奪う道具でしかないという着眼点。
他のものだったら、と思う事は確かにあった。だからこそ、その話は胸に引っかかった。この辺りの経緯を、俺自身が知っていない。
何故、短刀の形をしているのか。何故、柘榴石が埋め込まれているのか。その意味、理由が全くわかっていない。
故に、後程様々な手段――それこそ、合わせ鏡だとか――を使用した、落陽明松……或いは不知火京介との対話が必要なのだと、そこで理解した。
ただし。フィーさんが言うには、現代において刀とは人を殺す道具から芸術品へと進化したのだという。俺の話を聞いてもその回答が明確に返ってきたので、きっと本心。いや、そもそも彼女はあまり嘘をつかないか。
ということは、今はそもそも怪奇を倒すための道具でしかない落陽明松も、見方によっては芸術品の一種だと捉えられる。
形は変えずとも、在り方は認識次第で如何様によ変わる。
人殺しの道具と接するんじゃ心はいつまで経っても開かない。なればこそ、刀は時代によってその在り方が変わるんだという事実が、対話には大切なのかもしれない。
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物心ついた頃には不藤識であったから、京介だった頃の記憶を持ち合わせていない。
だからこそ、今彼が何を思っているのかもわからない。
神秘の力を具現化した時、何故短刀になるのかもしらない。
何故柘榴石が埋め込まれているのかもわからない。
唯一わかっているのは、俺と君、どちらかしかこの器には入れないということだ。
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四門さんが言うには、神秘の形が短刀だけとは限らないということ。その在り方は本人達の望み如何では変わりうる、と。
納得しつつ、その話をよすがにも振ってみた。すると返ってきたのは、その考えに対する賛同と、短刀が命を奪う道具でしかないという着眼点。
他のものだったら、と思う事は確かにあった。だからこそ、その話は胸に引っかかった。この辺りの経緯を、俺自身が知っていない。
何故、短刀の形をしているのか。何故、柘榴石が埋め込まれているのか。その意味、理由が全くわかっていない。
故に、後程様々な手段――それこそ、合わせ鏡だとか――を使用した、落陽明松……或いは不知火京介との対話が必要なのだと、そこで理解した。
ただし。フィーさんが言うには、現代において刀とは人を殺す道具から芸術品へと進化したのだという。俺の話を聞いてもその回答が明確に返ってきたので、きっと本心。いや、そもそも彼女はあまり嘘をつかないか。
ということは、今はそもそも怪奇を倒すための道具でしかない落陽明松も、見方によっては芸術品の一種だと捉えられる。
形は変えずとも、在り方は認識次第で如何様によ変わる。
人殺しの道具と接するんじゃ心はいつまで経っても開かない。なればこそ、刀は時代によってその在り方が変わるんだという事実が、対話には大切なのかもしれない。
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