RECORD

Eno.26 朔 初の記録

じゅーく


「………」

朔初は家に帰っている。
自室に入れば、振込の確認をした。

「…」
「よし」

地道にコツコツとこなした依頼類。
ウィークリー。
見事全部クリアできていることだろう。
クリア済みの文字が光っていた。
そうして、CRの残高は増えている。

お金が増えるというのは豊かになるということだった。
将来安心できるということだった。
高校生だから微々たるものではあるのだけども。
それでも、稼ぎには違いないのだった。

朔初は貧乏だった。
貧乏というわけではないが、貧乏だった。
祖母と祖父に迷惑をできるだけかけたくはなかった。
それは特に金銭面だった。
生活費を払ってもらっている。
光熱費を払ってもらっている。
学費を払ってもらっている。

老後穏やかに暮らすはずだった2人のもとに、突然降って湧いた厄介者だということは重々承知していた。
承知した上で邪魔している。
邪魔するからには払うものが必要だった。
でも、全てが払えるわけもない。
それが悲しいかな現実だった。

祖父との関係は冷え切ってはいないが覚めている。
祖母は、長くない。

だから、高校を卒業したらすぐ出て行けるようにの貯金と。
家事洗濯の肩代わり。
携帯代はバイト代から。

見た目を綺麗にするだけは、最低限お金をかけるのを許して欲しい。
古い服を捨てたときに、新しいものを買い。
美容院で髪を整える。
そうしないと、可哀想って言われるんだ。
きっと。
馬鹿みてえな話だけど。

ただ、それ以外にも、なんでも、やれることなら。
駒使いとして使って欲しかった。

それは親愛や家族愛ではなく。
ただただ、厄介者の奉公だった。
返さなければいけないという問題に対する、返答を行動と金で返していた。
そうでないと、



「そうじゃないと」


──いらない、出来の悪い孫なんて、あの人たち可哀想だろ。


他人の目線から、そうおもうだけだった。



優しさなんて嘘ばっかりだ。
優しさなんてエゴイズムだ。
損ばっかりする。損ばっかりする。
人手が入りそうなところって、偉そうだった。
助けられる自信に満ちてるんだろうか。
その自信は気持ち悪い。


嫌いだ。全く。全部。