RECORD

Eno.344 本田健斗の記録

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「……さて、問題はこれからですね。」


寮の自室で眠る二人を起こさぬようにこっそりとタマガイくん模様のトートバッグを壁の収納に飾るようにかけた。

明日には裏の拠点が用意されるようだから、保護についてはもう心配は無いだろう……問題は。慧門さんの神秘の調査もあるけれどそれよりも。

「木栖さんは大丈夫でしょうか。」
聞き捨てならない単語が聞こえたから、何があったかはこれから聞く事になるけれど。

「……仮に罪があるとしてそれが理由ならわたくしも首を吊った方が良いことになりかねませんのよね。」

だってあの日に、自分の神秘が目覚めた日に決定的に『変わった』日に

「……誰も死にはしませんでした、今はちゃんとした『治療』を受けて仮初の日常に戻りました……けれど。」

あれは確かに罪だ、何も知らずに『治療』を施した傲慢なわたくしが一生背負うべき罪だ。

けれど絶対に終わりの時が来るまで生きてやると決めている、人として幸せになってやると足掻いている。確かにあれは罪だけれど、見合った罰を受けるべきとしても、それでも死ぬ理由になんてなりはしない。わたくしは別に善人なんかじゃない、少しだけ丁寧な言葉と幾つもの嘘で取り繕ったただの罪人で

「もしも木栖さんが死をもって償うとか、家の責任から逃れるとか言うのなら少々怒ってもいいでしょうかね?」



今日も身勝手に側に居る誰かを想う人でなしだから。