RECORD
Eno.176 都筑 明日汰の記録
2.夢を描くということ
初めて裏世界へ迷い込んだあの日。
怪奇という存在を知り、神秘という存在を知り、
そうして、『未来に繋がる引き出し』も、『捨てられてくるパーツ』もまた、それに類するものなのだと、理解した。
神秘ハンターを名乗るあの人に連れられて外に出るまでの間、
隣にいたキミノが何を思っていたのかは分からない。
ただ、世界の終わりを目の当たりにしたようなその横顔を見た時、
俺はきっと、戦わなくちゃならないんだって、そう思った。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
力を持つ人を見た。物語の主人公のように、人智を越えた神秘を宿す友人を。
ただ迷い込んだ自分とは違い、その力を持つ故の責任や苦悩に苛まれる人たちを。
思い悩む人を見た。自分と同じように、特別な何かを持たない友人を。
その苦難に泣き言を言うでもなく、自分なりに出来る何かを模索する人たちを。
一瞬の非日常に、憧れと特別感を抱いてしまった自分を恥じた。
裏世界というものは、怪奇や神秘というものは、もっと普遍的な――
表世界に生きる誰もが、少しのボタンの掛け違えで等しく遭遇し得るものでしかないのかもしれない。
それでも尚、自分は――特別な何かに、憧れを捨てられないままでいる。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
作業に取り掛かってから数日後のこと。
試行錯誤の末についに『未来発明』の記念すべき第一号が完成した。



それは遍く男の浪漫、空を飛ぶ鋼の拳。平和な現代社会において意味など持たない筈だった兵器。
キミノにでも見せて満足したら直ぐにロボタから取り外すつもりだったその機能は、
結局のところ――裏世界を生き延びる為に必須のものになってしまった。
それが怪奇に抗う術になり得るのだと、分かってしまったから。
神秘の危険性を学び、管理の重要性を知った上でも、
俺はこの引き出しを閉じるつもりにはなれなかった。
それが俺にとって身の丈を越える神秘なのだとしても、
いつか災いをもたらすかもしれないものだとしても、
確かに俺とロボタの力は、幼馴染を、友人を、見知らぬ誰かを守ることが出来たんだ。
未来の神秘を宿すロケットバンカーは、俺だけの発明品じゃない。
誰かの借り物に過ぎないそれは、本当の科学の進歩たり得ない。
だけど誰かを救うために使えるのなら、俺の『未来発明』は、きっと間違いじゃない。

怪奇という存在を知り、神秘という存在を知り、
そうして、『未来に繋がる引き出し』も、『捨てられてくるパーツ』もまた、それに類するものなのだと、理解した。
神秘ハンターを名乗るあの人に連れられて外に出るまでの間、
隣にいたキミノが何を思っていたのかは分からない。
ただ、世界の終わりを目の当たりにしたようなその横顔を見た時、
俺はきっと、戦わなくちゃならないんだって、そう思った。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
力を持つ人を見た。物語の主人公のように、人智を越えた神秘を宿す友人を。
ただ迷い込んだ自分とは違い、その力を持つ故の責任や苦悩に苛まれる人たちを。
思い悩む人を見た。自分と同じように、特別な何かを持たない友人を。
その苦難に泣き言を言うでもなく、自分なりに出来る何かを模索する人たちを。
一瞬の非日常に、憧れと特別感を抱いてしまった自分を恥じた。
裏世界というものは、怪奇や神秘というものは、もっと普遍的な――
表世界に生きる誰もが、少しのボタンの掛け違えで等しく遭遇し得るものでしかないのかもしれない。
それでも尚、自分は――特別な何かに、憧れを捨てられないままでいる。
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
作業に取り掛かってから数日後のこと。
試行錯誤の末についに『未来発明』の記念すべき第一号が完成した。

「やるぞ、ロボタ! 撃ち抜け、鉄拳ッ!!」

神秘の機巧が宿された、鋼の拳が火を噴き唸る――!

「男の浪漫ッ! ロケットバンカーッ!!」
それは遍く男の浪漫、空を飛ぶ鋼の拳。平和な現代社会において意味など持たない筈だった兵器。
キミノにでも見せて満足したら直ぐにロボタから取り外すつもりだったその機能は、
結局のところ――裏世界を生き延びる為に必須のものになってしまった。
それが怪奇に抗う術になり得るのだと、分かってしまったから。
神秘の危険性を学び、管理の重要性を知った上でも、
俺はこの引き出しを閉じるつもりにはなれなかった。
それが俺にとって身の丈を越える神秘なのだとしても、
いつか災いをもたらすかもしれないものだとしても、
確かに俺とロボタの力は、幼馴染を、友人を、見知らぬ誰かを守ることが出来たんだ。
未来の神秘を宿すロケットバンカーは、俺だけの発明品じゃない。
誰かの借り物に過ぎないそれは、本当の科学の進歩たり得ない。
だけど誰かを救うために使えるのなら、俺の『未来発明』は、きっと間違いじゃない。

「今はまだ夢でいい。これが神秘で構わない。
いつだって夢を描く奴がいなくちゃ、始まりもしないんだ。
臆するものか、俺様は科学者だ! 未来の天才発明家だ!
神秘を神秘のままでは終わらせないぞ。解き明かし、明日へと持っていってやる。
それが俺様の覚悟だ! ふふふ……はははは……!
なーっはっはっはっはっは!!」