RECORD

Eno.270 猫の記録

猫の記憶14

三月三日のエンと妹の夢を見た。

海で見た夢の延長線、或いは似た夢。
そこに明日はなかった。
そこに過去かこもなかった。

「ただの夢、か」



満月の日、手を伸ばした二人。
月は人を狂わすという。
二人がみた満月は、どういうふうに見えていたのだろう。
あの海に映りこんだ満月みたいな…いや。もっと綺麗なものだったかも。

「…名は、不思議なものだときいた」



三日、という妹と、明日という姉がいた。
多分きちんとした由来はあるのだろうけど。
姉妹全員の共通点と言えば、地名由来という事を知った。

どこにある地名かなんて忘れたけど。

エンの本名は、ヤヨイという。
元々女の子として望まれていたときいた。
けれど、男の子が生まれたから、彼の名前は、夜を表す名になったのだと聞いた。

かこの名前は、なんというか。過去の自分に重ねたというのがあった。
今更だけど、もう少しちゃんと名前考えてあげたらよかったなとは思う。
まあ、本人は気に入っているようだけれど。

「…名前の由来くらい、聞けばよかったな」



「…案外適当だったのやもしれん」