RECORD

Eno.32 不藤識の記録

monologue. 『≠』

同じ物質、同じ体積、同じ質量、同じ空気抵抗、同じ物体の上、地面に平行な場所。
そんな球体ABが衝突したならば、その後も同じように動くだろうか。
理論上はYes。だが現実はNo。

人も同様。
人間、という種に通ずる姿形は似通っていても、環境性格体質、過去の経歴に現在の意思。同じ者など居ないのだから、衝突した時の影響は不平等だ。


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故に、人は他人を不平等に己の視界から排する。
他者を等しく評価しようとすれば、その者の精神こころは近い内に崩壊する。何も無い世界か、情報が飽和して溢れる世界の二つに一つ。どちらも人が生きるには向いていない。
だからこそ、人は不平等に人を評価するのだ。

知っている人間、仲の良い人間、判断基準は主観で様々。十人十色の基準が存在し、その全容を細部まで理解できるのは己だけ。
そうして他者を分類し、自分から見える世界を再構築し続ける。それこそが人生のひとつの側面である。

時に、とりわけ主観での印象がいい者、或いはそうすべき理由がある者に対しては、特に不平等に贔屓することがある。
人はそれらを、特別な存在だと表す。

不平等とくべつな関係とは貴重なものだ。
その枠が少ないのであれば、尚更。


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俺は、その不平等を尊ぶ。
絶望的なまでに等しく、皆が不平等に他人を評価することが、何よりも健全で素晴らしいものだと思っている。



それはそれとしてこれはただの愚痴だが、人生とは酷く不平等で不条理なため、実質クソゲーだと思っています。

以上。