RECORD

Eno.43 神林 雨の記録

初めて助けを求めた。
初めて頼れた、心の底から。

けれども、それは失敗を伴って私にのしかかった。
声のあげ方が間違っていたなら、そうであると言えればよかったが。
私の知らない、私の責となって私を突き刺した。

遠回しに、不満を産ませるもの。

知っている、善意でやっていたこと。
ゆえに、責めることはできなかった。
それを口に出すことすら憚られた。
そうすれば、部長に泥を塗ることになる。
恩人、ゆえに。何も言えなかった。

この悲鳴は誰も知らなくていい。

この重みは自分の元へ積み上げることにした。
そうして、これからもそうするのかもしれない。

この悲鳴は誰も知らなくていい。

私が声を上げること自体、間違いだったというしかなくなっている。
いや、そうではないこと知っている。
でも、こわいんだ。ひとへの怯えが、私を蝕んでいる。

この悲鳴は誰も知らなくていい。

未だに、向き合い方を変えても。
私は私のままであることを自覚する。

この悲鳴は誰も知らなくていい。
この悲鳴は誰も知らなくていい。
この悲鳴は誰も知らなくていい。

だって、この悲鳴が誰かの不満となるのなら、静かにした方がいいじゃないか。

ちがう、ちがう。
でも、動けない。金縛りにあったみたいに、私は動けていない。
表面上は明るくても、底の私は未だに変わらぬままで在る。

声にならない。

失敗が恐ろしい。

私は、間違った私を愛せないでいる。
私は、愛せない私を肯定できないでいる。

世界を、一歩引いてみているような感覚。
私自身が、誰かの幸せそうな景色のなかには居ないような感覚。
それは幻想である事も知っているが、心がついてくるかは別だった。

そんな中でも信じたい気持ちはある。

だから、真っすぐ。
言われた通りに。
言ってみようと思う。