RECORD

Eno.382 フルルーナ・ワイズマンの記録

<rt>あ</rt><rb>曰</rb>る人は




二年に上がって一ヶ月が経った。

新しいクラスに馴染めるか不安だったけど。

みんな分け隔てない人たちばかりだった。

後輩も出来た。何人かに怯えられた。

慣れてるけど、やっぱりさみしい。


――今日も月を見た。満月だった。

いつものように水場を周りじぶんを拾った。

冷たい水に浮かぶ自分おつきさまを、手を入れて下から掬い上げる。

いつものこと。いつもの行為。

誰にも見られちゃいけない神秘の日常。――




テストがあった。勉強会をした。

ご褒美を用意して、小テストを作った。

効果は多分あったと思う。意外な二人が好成績だった。

でもその時だけだった。

このクラスは成績がだいぶバラけていた。極端。

自分は4位だったみたい。ちょっと悔しい。

文字が汚いからバツはずるいと思う、でもそれが結果。


――今日は月を見なかった。

もう大丈夫だと思って、ペンダントも置いた。

月が映るアクアマリン、ママから貰った宝物。

頭が痛い。声がする。

ねえいまどこ?ねえいまどこ?ねえいまどこ?ねえいまどこ?

ねえいまどこ?ねえいまどこ?ねえいまどこ?ねえいまどこ?

自分おつきさまじぶんが話してくる。

あのときとおなじ、あの時と同じ。万華鏡のように跳ね返る声。

視界が変わる。勝手に同調リンクしようとしてくる。

星々の煌めきのように光る大陸でんこう

焦点しるべを失い、ノイズのようにちらつく光景。

お月さまそのまなこは、まだ逃がしてくれない。――