RECORD

Eno.424 甘露 進の記録

オレは知ってるから

オレ?ここ数日は表でのんびりしてたよ。

タマガイくんフェスに圧倒されたり、
キツネセンパイにラーメン奢ってもらったり!
あれお互い黙って食ってたけどうまかったなあ。
そんだけうまいってこった。

特筆すべきことがない日も過ごした。

表世界でしか面識のない友達と駄弁る日とか、
ランクマ潜ってて昇格戦だけで負ける日とか、
ぐっすり寝てたら「お前3コマ目入れてただろ!」って布団引っ剥がされたけど
スマホ見たら休講って言われてた日、とか。


そ。オレらはこういうなんでもない日を過ごす。

ずっとそういう風であって欲しいと、
裏で顔を見た人たちもちょこちょこ、
そう思ってるだろう。
オレは…そうだったらよかった半分、
裏世界含めた今のことが気に入ってる半分だ。

……オレは正直、裏世界に触れたことで現れるようになった『依頼』にはとても手が馴染む。

企業から依頼を受ける。
遂行すれば、報酬がもらえる。
傷ついたものを休めて、オレはまた一つ学ぶ。
オレはまた一つ強くなる。
自分のために。誰かのために。

そしてすれ違った裏のどこかで、
また誰かに笑いかけて手を振れるように。


これはゲームなんかじゃない。マジの話だ。
そして裏世界に居る知り合いも、
おんなじサイクルを繰り返してるだろ。


オレは分かってる。
こんな風に考えてるオレは、結構少数派だって。
『向こうでもよろしく』とオレたちが言外に指し示す時、
手を振りかえしてる心の中で、会いたくないって思ってる奴もいるんだって。

んでもって、それはオレらが嫌いなんじゃなくて、
オレらに傷ついてほしくないっていう優しさで。

互いが互いをそう思ってる、ここはやさしい世界だ。
それなら機関に無理強いはされてないんだし、
この世界から手を引けばいい。
誰かのために。自分のために。

そしてすれ違った街で、
また誰かに笑いかけて手を振れるように。


多くの人がそうしないのも、
オレは知ってる。
皆どうせ、自分の中に理由があるんだ。
向き合う理由が。
戦う理由が。
各々の理由を胸に、
もう戻れないからと言っている。

そしてオレも、そこから降りろ・・・なんて事は言わない。
それで話が通った奴がいた試しはない。
だからせめてオレたちは、
互いの無事を、幸運を、日常が。
良いモンであるように互いに願掛けしあう。

知ってる。知ってんだよ。
ずーーーーっと、ずっと、ずっと昔から。

オレが、そうだったから。