RECORD

Eno.26 朔 初の記録

CASE:長久百3



長久百はただの凡人でと、言っても、それはある一定の観点からである。
裏、を知らないという意味で。
一般に属しているのだから。

ただの凡人である。














「秘密にしろと言われている」


──いや、ありゃ夢か何かだと思ってんだが。

ちびっこの時、通学団で横断歩道渡って帰ってた中のことだ。
当時の俺は真ん中くらいの年齢でよ〜、自分より年下のやつには偉そうに、上には生意気聞いてたんだが。
まあただの帰り道だよ。まとまった人数でな。

夕焼けが眩しい日だったと思うよ。

俺んちがいちばんとおくて、だから最後に残るのは俺だけだ。
最後の一人と別れて、いっぽ、にほ。

さん。




そこの夕焼けは、やけに赤かったことを覚えている。


思わず俺は首を傾げちまったんだよ。
なんか変だぞって。
周りはやけに静かなようだし、夕焼けの色は変わってしまっていた。
それでも、見える景色は変わんねえから、家に帰ろ、と突き進んでいったんだよな。


お化けたちがいた。


いや、あんま覚えてねえんだ。
だから、お化けたちがいたとしか言いようがねえ。
お化けがいたんだよ、たしか。

俺は逃げたさ。

ランドセルなんか投げ捨ててやろうかと思ったが、そんな判断してる暇もなく、逃げていた。
足は普通の速さだもんだから、おっつかれるんじゃないかとおもって怯えていた。
いくら戻っても元の場所に辿り着けなくて。

ああこりゃ悪夢だなと判断していた。


あいつらは追っかけてきてなかったんだけども。
半狂乱の俺はひたすら、かけていた。
辿りつかない道を。
ただただ。
真っ赤に染まる世界で。
黒のランドセルは目立って。




──まていそこの少年よ!!!





──やたらと力強い声が聞こえている。



「そちらは帰る道ではないぞっ」




「──オレが案内してやろう!!!!」




──ただし約束だ良い子のきみ!!!

──ここで見たことは、全部夢だからなッ!



そう思いなさい。









「………」

「多分、夢だったんだろう」

しばらく変なものが見えたりしていたが。
時間が経つにつれ、全く見えなくなった。
あそこの世界のこと、約束したのもあるけれど。
怖かったので、この記憶は誰にも話していない。
本物なのか、偽物なのか。
今や怪しい記憶だ。


すんなりとは思い出せるけど。
基本的には、仕舞い込んでいる。
怖かったし、忘れるようにしている。



呪いっていうのは、確か言うから広まるんだよ。
誰かに対して怯えて、それが募るから本物になるんだ。


その後来るようになった、今は故人となった彼はそう言っていた。
それも守っていた。
その人のことが好きだったから。
よく懐いていて、いい人だった。
絵が好きで、よく漫画を描いて読ませてくれていたな。


──なにより、あの日案内してくれた人に、よく似ていた、きがする。


逆光で顔がよく見えなんだなあ。




──長久百は現在、神秘を帯びていない。