RECORD

Eno.662 辰森 ユキの記録

20/XX/XX-3

2020年XX月XX日 辰森 爻記す

DNAの照合結果は子供と卵殻で一致した。
喜ぶべきか否かは判断の分かれる所だが、少なくとも手掛かりが一つ増えた事になる。

……さて卵の出処だが、魔女の語った取引相手の組織は既に解散していた。
そこでコロニスト側に協力を依頼し、組織の生き残りにコンタクトを取った。

彼らの組織、『アニマル帝国』は当時の裏世界では“大人の裏ペットショップ”としてある程度名の通った存在だったようだ。
通った名というのも悪名であり、コロニストでもマークしていたと記録にはある。
比較的弱い怪奇を捕らえては、それをペットとして表裏の好事家に売り捌いていたという。
怪奇をペットになど……悪名高いのも頷ける話だ。
さておき。
“女帝”『マーサ=リタノヴァ』の下、かなりの手練れが集まっていたそうだ。

しかし10年ほど前、その精鋭揃いのメンバーを大きく減らした時期があった。
100名ほどの手勢を引き連れどこかへ遠征し、ひと月後にその殆どを失って帰ったという。
女帝が多くの犠牲を払って手に入れたのは、巨大な卵一つ。
……結局その件が元で女帝は求心力を失い、“アニマル帝国”は暫くの後、瓦解した。

崩壊寸前の帝国は、せめて金だけでも手元に残そうとありとあらゆる物を売り払った。
卵もその一つだったという訳だ。
女帝自身があちこちに売り込みをかけていたようだが、その法外な価格と雲を掴むような卵の出自から、中々買い手が付かなかったという。

そうして最終的に“魔女サークル”『人類の暁月』の手に渡った。

話は変わるが、あの子供はあちこちと協議した結果、私が引き取る事になった。
当然一般家庭に養子になど出せないし、孤児院でも恐らくかなり手が余る。
対して、私であれば何かあっても始末出来るし、上から制御しやすい……などと考えているのだろう。
その思惑に乗ってやろう。
私には、私達には誓いがある。

寄る辺無き孤独な魂に安息を。

これが私達十三支の誓い。